魔竜の呪いにかかって動けなくなってしまったルーネス一行を助けるべく、魂だけの存在になってまでもドーガが奔走します。なんでもドラゴンの数と同じ5つの光の心をもってすれば呪いは解けるとのこと。ルーネスたち4人をはめるのに5つの魔竜の呪いを使うあたりが少しモヤっとしますが、一緒に戦ってきたNPCの数と合わせるためにはやむなしです。まず、ドーガが向かったのはサスーン城のサラ姫のところです。サラ姫とは魔人・ジン討伐をご一緒した仲です。しかもうちのイングズはサスーンで育ちサスーンの兵隊としてサラ姫様のために働いていますので、その因縁は浅からぬものがあります。ドーガさんもその点はご存知のようで「イングズたちが危ないのだ!サラ姫、わしと一緒にきてくれ。」と個人名を前面に出してお誘いします。「魔竜の呪いを解けるのは光あふれる心のみ・・・そなたの力が必要なのじゃ!」この時点でこの二人は初対面のはずです。しかし、イングズの名前を聞いてサラ姫は「行きます!」と即答です。突如王女の寝室に現れた不審者に気安くついてしまうのもいかがなものかと最初は思いましたが、初対面でもサラ姫は実はドーガのことを知っていたのです。そう、モグネットを使ってイングズとサラ姫はこそこそと文通をしていたに違いありません。そして、ドーガという恩人の話ももちろんイングズからサラ姫の耳に入っていることでしょう。まぁ、ドーガが本人であるかどうか、サラ姫に認証できるわけではないでしょうから、王室のセキュリティ面の甘さを露呈してしまっていますが、王族ともなると人を見る目がものすごい養われているに違いありません、という理屈でサラ姫がほいほいと見知らぬ人についていってしまったことは許そうと思います。イングズ以外の人についていってほしくないのですが、イングズのためですからね。目の前にイングズをぶら下げられたら走らざるをえない姫なのです。
次の光の心の持ち主は4人のじいさんではなく、カナーンのシドでした。少しホッとしましたね。最悪「サラ姫+4人のじいさん」という組み合わせもあり得ましたが人数的にもう4人のじいさんの出番はなさそうです。「シド、力を貸してくれるか?」とサラ姫のときとは違って少ない言葉で勧誘するドーガに、既に事情を理解しているかのごとく「ルーネスたのためならどこへでも行くぞ!連れてってくれ!」と当意即妙に返すシドじいさん。隣の奥さんも何も言わずに旦那を送り出します。シドは飛空艇にも詳しいことから以前からドーガと何らかの親交があったと考えられなくもありません。やりとりを見た感じツーカーの仲っぽくすらあります。カズスのタカやアーガス王とも親交のあるシド。確か、彼の出身は浮遊大陸の外の世界でしたね。ドーガと会うチャンスはあったわけです。10年前に赤子だったルーネスたち4人の光の戦士はシドの飛空艇に乗っていたのが功を奏して外の世界と一緒に闇に飲み込まれるのを免れた経緯もあります。二人は光の戦士の保護者としても気が合いそうです。
次にドーガが訪れたのはオーエンの塔です。ここは浮遊大陸の動力炉であり、浮遊石のバランスを取る役割がある大事な場所です。「デッシュ・・・死んでしまったか・・・」と当てが外れて落胆するドーガでしたが、奈落からよいしょとよじ登ってくる男の姿がありました。「デッシュ生きていたのか!」とプレーヤーの声を代弁するドーガさん。「見たことのねぇじいさんだな。何言ってんだ、俺が死ぬわけないだろ!やっとオーエンの塔の修理が終わったところさ!」メデューサにボロボロにされたオーエンの塔を何とかするために命を投げ出したかにみえたデッシュですが、期待を裏切ることなくやはり生きていたのです。しかも、あれからずっとオーエンの塔の修復作業にかかりきりで、レフィアにもサリーナにもその生存を知られることがなかったようです。相変わらず小憎たらしい口ぶりで、初対面のドーガにもひるむことはありません。彼は実はコールドスリープによって現代にある古代人の生き残りなのですが、ドーガのことは知らないみたいです。ノアさんがバハムートとリバイアサンを封印しに浮遊大陸にきているはずなので、むしろノアさんと面識があったりして・・・いや、その頃にはデッシュはもう寝てたわけか・・・。それはともかくデッシュは浮遊大陸が制御不能になる瀬戸際だったのを食い止めるために奮闘していたわけです。「レフィアたちが危ないのじゃ・・・」と例によって個人名を出してデッシュを勧誘しようとするドーガさん。デッシュが色好みで女の子に弱いことを熟知していますね。「次から次へとトラブル続きだ。仕方ねぇ、行ってやるぜ!」と言っていますが、デッシュは行く気満々の様子です。
4人目はエリアを飛ばして、サロニアの新王・アルスでした。もちろんこの王様を口説くには「アルクゥ」の名前を出すドーガさん。う~ん、ルーネスの名前が・・・シドのときにシドの口から出てきましたが・・・やはりルーネスに放たれた毒矢を代わりに受けたエリアが一番ルーネスとの因縁が深いでしょうかね。なお、アルス王子もアルクゥの名前を出されるや「もちろん行きます!」と駆け出しました。一国の姫や王様が私用で魔法使いのおじいさんに連れ去られていますので、身辺の人たちはもう少し騒いでもいいですよね。
そして私は衝撃を受けました。最後に訪れたのは水の町・アムル。確か、エリアの姿を見た最後の場所が水の洞窟で、その南西にあるのがアムルの町です。ここにいたのかエリアさん。しかし、画面にはエリアとは性別も年齢層も異なる人の姿が・・・それも4つも。「頼む!誰か一人、ルーネスたちを助けに来てはくれぬか?」とドーガさんがまさかの4人のじいさんを勧誘し始めました。それは私も5つの光の心と言われて、デッシュの次に4人のじいさんのことを連想しましたが、それはあくまでもネタであって、一笑いして終わりなネタです。4人のじいさんは4人いることにアイデンティティがありますし、その内の一人だけを連れていくというのはあまりにも横暴な話です。しかし、あれよあれよという間に4人のじいさんの中でもリーダーと称するじいさんが「いよいよ勇者の出番じゃな!よしわしが行こう!」と乗り気をみせてきます。ダチョウ倶楽部的に「いや、わしが。」「いやいや、わしが・・・」とかコントが始まってこのじいさん勧誘劇を終わらせてほしかったところですが、残りの三人は「がんばれよー!」と声援を送る始末。「まかしときー!」とこれで光の心が5つ集まってしまった模様です・・・。
これはつまり水の巫女・エリアさんは何らかの力で助かるようなことはなかったということが決定してしまったわけです。いや、実際、ルーネスたちは彼女の死に直面していたはずなのですが、デッシュの例がありましたし、なんだかんだで生きていた、あるいは生き返るという可能性がファンタジー作品ならありえるのです。それこそジャンプ漫画で育った私は安直にそこにすがってしまうわけでして、FF2であれだけ人が死んだのに何も学んでいなかったわけですね。死人でパーティーを組んで短編が作れるほど死んだのに・・・。だったら、魔竜は4体でよかったじゃん!って思いますよね。これが5体だったのは、製作者側の巧妙な罠で、私みたいな人間が5人目のエリアさんの無事を想像したところを裏切るという手のひら返しだったのです。4人のじいさんの一人という微妙な人選をすることで盛り上がる期待をどん底にまで突き落す呪いのような罠なのです。私には製作者が魔竜に見えます。呪いの矢がハートに刺さって死んでしまいそう。もうコミカルな4人のじいさんをみても苦笑いしか出てきません。キタキタおやじにおいしいところをさらわれたのに等しいです。
ドーガさんは言いました。「魂は不滅」と。エリアさんの魂が、ルーネスたちを見守ってくれていることを祈ります。