飛空艇乗りのシドとカズスの宿屋で出会ったルーネスは、西の砂漠に匿われた飛空艇での飛行許可をとりつけ、ミスリルの指輪のカギを握る鍛冶屋・タカの娘を探すことになりました。それもこれもジンという名の謎の人物がカズスに呪いを振りまいてしまったからなのですが、そもそもなんでジンはそんなことをしたのでしょうか。町人の話では、元々ジンはその呪力をおそれられて、封印の洞窟という場所に幽閉されていたのだそうです。それが先日の大地震によって洞窟の封が破られて、堰を切ったかのようにジンの呪いがカズスに届けられたという次第だそうです。
まぁ、長期間に渡って一か所に閉じ込められていたら、封印した人間たちに対しての恨みも相当積もっていることでしょうから、ジンも呪いに呪ったことでしょう。そのとばっちりを食ってしまったカナーン出身のシドは不運としかいいようがないですね。
何気に大地震によって、ネルブの谷が塞がったり、洞窟の封印が解けたり、人々の平穏な生活に影が生じています。ルーネスも変な洞窟に落っこちて、ランドタートルに殺されかけるという散々な目にあっていますが、この地震の原因とクリスタルはどこかでつながっているようでもあります。今、起きていることは全てクリスタル様のお導きなのかもしれません。シドとの対面や、まだ見ぬ二人の仲間との出会いも、クリスタルが仕込んだイベントといえなくもない・・・ような気がしないでもない。
もしも、ジンという人物が危険な能力を保持しているというだけの理由で、理不尽に幽閉されていたのであればちょっぴり同情しなくもないですが、まだ、ジンが幽閉される以前に何をしでかしたのかは明らかにされていませんので、ジンのキャラクターについては保留ということになります。
宿屋の北の鍛冶屋には、噂のタカがいました。ただし、ユーレイ状態になっているため、シャツにプリントされた黄色いライオンの姿はみえません。どうも、「呪い→ミスリル→鍛冶屋→タカ」という連想がカズスの住人に共通して働いたせいか、タカのもとには既に大勢の人が「ミスリルの指輪」を求めてやってきていたようです。応対するタカの方は、そんな来客にはもううんざりといった様子で、投げやりにルーネスの要求をはねのけます。この大惨事を救う唯一の男として期待されたタカですが、鎚を持つことができなくなった透明の手では、そんな大勢を救うことは、土台無理な話でした。おまけに鍛冶の修業中の娘は家出して、行方不明という始末。
せめて、どこか娘の行きそうな場所がわかれば、娘を連れてきてミスリルを鍛えることもできるのではないかと思いましたが、どうもこの娘は修行が辛くて逃げ出すような腰抜けだそうです。修行も満足にしていない者には、ミスリルの指輪なんてとんでもないみたいです。
とりあえず、この家にはタカの奥さんの姿は見受けられません。仮にトシさんとでもしましょうか。ひょっとしたら、トシさんは娘を産んで、ほどなくして亡くなっているのかもしれません。そして、男やもめ一人の手で娘を育ててみたものの、多感な年頃の女子の心理をうまく把握できず、衝突を繰り返し、修行もへったくれもないという家庭の事情があるのです。タカにしてみれば、娘は大事な跡取りです。自分の伝統技能を継承し、後世まで伝えてほしいという願望はあるでしょう。しかし、娘的にはその才能があろうがなかろうが、きれいに着飾ったり、異性と交流したりしたい年ごろです。手に火傷が絶えない鍛冶仕事なんておしゃれの敵でしかありません。墨で真っ黒な顔では、外にも出られないって話です。あぁ、トシ母さんが生きていてくれれば・・・なんて現実から逃避して、家出の一つもしたくなります。
今回は、その家出のおかげでひょっとしたら、娘はジンの呪いを回避できている可能性がありますが、例え、娘が帰ってきてもミスリルを精錬して、きれいな指輪に仕上げることは技術的に無理というのが、長年の経験から培ったタカの見通しです。
さらに町を北に進むと、岩壁に横穴が開いていました。どうやら人が掘り進んだもののようなので、中に入ってみると、「ミスリル鉱山」との表記。どうやら、カズスは鉱山の麓で鉱業を生業にしている人たちが集まってできた集落のようです。なるほど、農村とはまた違った発生の仕方をした集落なわけですね。人の移動が多いせいか、宿屋も幾分か広かった気もします。この町の人がやたら「ミスリル」に精通していたり、鍛冶屋が商売として成立していたりするのも納得がいきます。
もしも、FFシリーズに時間的なつながりがあるのであれば、昔ここら辺一帯は河川があって、セミテの滝なんて呼ばれていたかもしれませんね。サラマンドの大将・ヨーゼフが匿っていた「雪上船」が、この先発見されたりしたら、ちょっと面白いんですけどね。
この流れでいったら、タカの娘がこの洞窟に隠れているところをモンスターに襲われて、ルーネスに救われるという筋が想像できます。ついでにミスリルの原石の一つも持ち帰れば、うまいことミスリルの指輪までつながるかもしれません。
そんな打算を胸に秘めつつ、洞窟を進んでいくと例によってモンスターが登場しました。町の中にあっても、洞窟ともなればモンスターが潜んでいるものなんですね。暗いところがよく似合うアンデッド系のモンスターですから、「ケアル」がよく効きそうです。
が、びっくりしたことにこの骸骨たち、やたらと強くてアルクゥが2撃で殺されました。文脈的にこの洞窟の先に目的のものがあってもよさそうだというのに、ルーネスも3撃で撲殺。初めての全滅・・・あまりの衝撃に声も出ませんでした。もちろん、カズスの町の中で死ぬとは思っていなかった私は、セーブを忘れていました。
タイトル画面に戻って、「LOAD GAME」から再スタートすると、さっきまで横にいたはずのアルクゥの姿はなく、またカズスの町の入り口で挙動不審になっているところを後ろから声をかけることになりました。隠しアイテムが2つほど町中にあったのですが、それもわざわざ取り直す羽目に。(ちなみに両方ポーションでした。)
こんなにあからさまに口をあけていたミスリル鉱山が、まさかまだ入ってはいけない場所だったとは。これだから恐ろしいです、FFは。シドが「西の砂漠」へ行けといっていたのだから、盲目的にそちらに向かわないと命の保証はしてくれないゲームなのです。改めてノーセーブ・ノーライフというシステムの恐ろしさの片鱗を味わった瞬間でした。トパパ村長が「おお、ルーネスよ。死んでしまうとは情けない。」とか、「おお、アルクゥよ、そなたがついていながら情けない。」なんて言ってくれた方がどれだけいいか。(村長の中では「アルクゥ>ルーネス」)
ウルの町中でも、ゴブリンが襲ってきたという事例もあることですし、セーブの頻度を前作以上に上げていかないと、また泣きをみることになりそうです。