たまさか地割れに飲み込まれてしまい地上に戻らんと暗い洞窟を進んでいると思っていたら、全てがクリスタル様のお導きであったという、壮大などっきりカメラを仕掛けられたルーネスは、何が何だかいまいち理解が進まないまま、眼前がホワイトアウトして、気がつけばどこかの草場に横たわっているのでした。
一体全体、今までのことは何だったのでしょうか。夢にしては生々しく、ゴブリンをなぎ倒した感触は手に残っています。腰にはロングソードも帯刀しているので、さっきの不思議な出来事はリアルだったと考えるのが自然でしょう。どっきりカメラの収録もあけたところで、仕掛け人たちのよく考えれば不自然だった行動などを省みてみましょう。
クリスタル様(仕掛け人)がいうことには、「光」とか「闇」とか「希望」とかとにかく言うことが抽象的でうさんくさかったのが印象的です。もったいぶらずにもっとはっきりと「悪い奴から平和を守るのは、お前だ」と言ってくれればいいものを。
天真爛漫と好奇心旺盛がウリのルーネス的には、あまりに具体性を欠くクリスタル様のお導きは「よくわからないこと」として頭の隅に追いやられてしまいました。ただ、あるのは、「俺ちょっとレア体験しちゃった」という漠然とした楽しい気持ちです。ちょっぴり怖くて、それでもすごいきれいなものを見ちゃったなんていう体験は、子供大好きです。
草地から起き上がると画面は外マップに変わりました。東西北と険しい山に囲まれているので、南にしか進めません。序盤も序盤ですから、プレーヤーがいきなり変な方向に行かないように移動範囲は極めて狭めてあります。う~ん、親切設計。こうでもしないと、チョコボに乗ってミシディアに辿りついてしまうような人が出てきてしまいますからね。
なお、外マップ画面では、DSの上画面に地図が表示されてくれます。これは結構便利ですね。実際に冒険の旅に出たら、地図を片手に移動するわけですから、ちょっとした臨場感すら感じます。主人公の現在位置にはピンが立ってます。これで町や村に入ったら、その場所を勝手にマッピングしてくれるんでしょう、きっと。Googleマップにマイマップという機能がありまして、自分で自由に地図を編集できるのですが、自分に関連する場所にメモを残していくのも結構楽しい作業だったりします。実際にルーネスが持っている地図には、もっとくだらない情報とかも書いてあるんでしょうね。ちょっと楽しそう。
スクエニさん、ドラクエやFFの地図コンテンツをWEBに放出すれば、ちょっと面白い販促ができませんかね。(もうやってたらごめんなさい。)GoogleMapsAPIでオリジナル地図も扱えたような気がしなくもないです。・・・サテライトビューでリアルな航空写真を見てみたいし、ストリートビューで街並みを歩けたら幸せになれそうな気がします。(苦情もこないだろうし。私有地のネクロゴンドにGoogleカー侵入!みたいなのは面白いけど。)
さて、半強制的に南に歩みを進めると村があったので、お邪魔してみることにしました。入っていきなり第一村人発見です。でも、どうやら村人はみんな顔見知り。このウルの村はルーネスの居住地でした。いろいろと情報を聞き込んでみると、長老がルーネスを呼んでいるとかなんとか。あとは、ガキども村の隅でたむろってやがるとかそんなローカル話も聞かれました。地元のヤンキーかなんかでしょうかね。ルーネスなんかは率先して村の悪ガキを率いてイタズラしまくってそうな感じなんですが、そういうわけでもないんでしょうか。この村の中でのルーネスのポジションがまだ掴めません。
この村のことをちょっと考えてみましょう。ウルというこの村はお世辞にも発展しているとはいいにくい印象です。西に城を構えるサスーン王という人物がこのパルメニ山脈に囲まれた土地一帯を支配しているとのことですから、そのサスーン王に農産物でも納めて、自給自足でやっているという感じの村でしょうか。村の近辺に特に田畑をみかけませんでしたので、狩猟なんかもやってるかもしれません。オープニングでみた通り、この時代にも飛空艇が登場しそうですから、機械による産業革命は地域によっては起こっていると思うのですが、どうもその近代化の波に乗り遅れている田舎村であるようです。都会派シティボーイ風の主人公と田舎育ちの天真爛漫な主人公というタイプがあるとすれば、ルーネスは後者ということになります。ドラクエのロト三部作では全て王様の命に従って大国からの出陣でしたし、FFの前2作も変則的なところもありましたが基本的にコーネリアやフィンといった大きな後ろ盾がありました。しかし、FF3では初の田舎スタート。その代わりに、ルーネスのバックにはクリスタル様がついています。為政者という世俗的な輩と違って、クリスタル様には神秘的な威光があります。ただ、クリスタル様側に「組織」と「金」がどの程度あるのかまだ不明です。宗教的な崇められ方をしているのであれば、教会という名のバックグラウンドがルーネスに味方をしてくれて頼もしいのですけどね。ウネにクリスタルにまつわる秘宝の一つや二つあってくれると、この貧相な田舎村にも箔がつくのですが、はてさてもう少し散策してみることにしましょう。
サスーンという固有名詞に続いて「カズス」という町の名前が聞こえてきました。おそらく、しばらくはパルメニ山脈に行く手を阻まれてサスーン王領から出ることは敵わないでしょうから、カズスもきっとサスーン領内の、それもわりと近くの町なのでしょう。ウルの村よりはいくらか栄えてくれていることを期待したいところですが、なんでもこの町全体が呪いにかかってしまっているらしく、迂闊に足を踏み込めない状況のようです。まぁ、希望の子・ルーネスがその呪いを解く役を担うだろうことは想像できますが、次の目的地かもしれない場所が呪われているなんて、ちょっと重たい展開です。アリアハンを出て最初の町レーベに辿り着いた・・・と思ったらノアニールだった!ぐらいの衝撃を受けること必至です。とりあえず、呪われた町・カズスのことは頭に入れておきましょう。
さて、村長もお待ちかねとのことですから、そろそろ村長宅に行ってみることにします。村の隅にタムロする子供たちのことは後回しにしましょう。さて、村長のトパパといえば、ニーナとともにみなしごのルーネスを育ててくれた人だったはずですから、ちょっとした恩義を感じている間柄だと思われます。好奇心旺盛なルーネスを育てるのは難儀だったかもしれませんが、村長を務めるぐらいの人ですから、懐もさぞかし広い人なんでしょう。そういえば、みなしごといえばアルクゥもそんな設定だった気がします。ルーネスと一緒に村長に育てられたのなら、村長の家にいけば会えるかもしれませんね。クリスタル様の最初の啓示は「仲間を集めろ」でした。幼いころから同じ屋根で育ったアルクゥはきっと仲間として申し分がないはずです。カズスの呪いのことなんかクリスタル様の仰せと比べたら二の次ですよ。早くアルクゥをポケモンボールに入れましょう。
で、村長の家に入るとダーンというおじさん(?)が話しかけてきました。何でも霊感が強いのが自慢らしく、ルーネスの身に先ほど起こったことをすかさず感知してしまったのだそうです。その上、その内容をトパパ村長にチクったらしいです。なるほど、ということは村長の要件はやはりクリスタル絡みのようです。内心、どのイタズラがばれたのか、磯野カツオのような心境でいたことは内緒です。「ひどいや、姉さん。」
育ての親トパパは、ルーネスの帰還に気がつくと、小さくて円らな瞳をパチクリさせながら、話しかけてきました。いやはやドット絵では表現できないかわいらしさです、トパパ村長。思わず「老師」と呼びたくなるその見事な髭と頭皮!ローポリゴンでこそこんなにかわいらしいおじいちゃんですが、リアルな絵になるとさぞや威厳に満ち溢れていることでしょう。あと、逆さにしても人の顔になるタイプの人ですね。
すいません、悪乗りしてやってしまいました。丸顔でトサカ頭の村長も新鮮かもしれません。
さて、村長のビジュアルがあまりにも印象的だったので脱線してしまいましたが、トパパは、ルーネスがクリスタルに希望の子として選ばれたことをひどく意外に受け止めたようです。この辺りから、ルーネスに対する世間の評価がうかがえる気がしますね。秀才肌のまじめないいこちゃんをクリスタル様が選ぶとでも思っていたのでしょう。ルーネスとクリスタルという取り合わせに、微妙な表情を浮かばせる村長。残念ながら村一番の問題児(イメージ)にこの世界の希望を託さなければならないようです。
っていうか、村長の口ぶりからすると、クリスタルが4人の兵隊を選抜するということは、ある程度の知識階級であれば知っていそうですね。何かの経典にでも書いてあるのでしょうか。それとも、ゲルガン族の男の語りが口伝で受け継がれているのでしょうか。
でも、自分が育てた子がそんな大層な役割につくんですから、もうちょっと喜んでくれてもいいのに。いや、危険な旅になることは目に見えてますから、ルーネスの身の安全を思えば、クリスタルがルーネスを選んだことは育ての親にしてみれば残念なことなのかもしれませんね。子を思う親の気持ちってやつですね。
村長はこの有事のどさくさに紛れて、ルーネスが実はみなしごであるということまでカミングアウトし始めました。いや、薄々気がついていたことではありましたので、ルーネスのショックは薄そうですが、割とデリケートな話題であることには違いありません。可愛い顔して、結構ズケズケと発言するおじいちゃんですね。日本の国会議員があんな感じですから、村長ともなればちょっとした失言くらいには頓着しないものなのかもしれません。
村長がいうには、ルーネスの本当の母親とおぼしき人は、顔はすすだらけ、服はボロボロという身なりでトパパ村長にルーネスを預けていったのだそうです。
・・・ルーネスの額に3つ目の目が開く可能性が浮上しました。アブドルダムラル オムニスノムニス ベルエスホリマク。
そんなカミングアウトを受けて、育ての母親であるニーナさんからもコメントをいただきました。いつか来るとは思っていた、真実が告げられる日。そして、それは奇しくもルーネスの旅立ちの日ともなるのでした。クリスタルの使命を受けて、仲間を探す旅にでかけなければならないルーネスを、これまで深い愛情で包んできた(推測)ニーナさんの悲しみもまた深いものでしょう。子供が大学進学のために上京する・・・というレベルならまだしも、ルーネスの行く先は基本的に「闇」ですから、新幹線でいつでも帰省するというわけにはいきません。実の子ではなくとも、子別れは辛いものです、多分。ルーネスぐらい騒がしい子だと、逆にいなくなったときの静寂が浮き立つので寂しさに輪をかけそうですね。まぁ、ルーネスみたいな奔放な子を持っていたら、そういう覚悟もずっと持っていたのかもしれません。ニーナさんがどんな親だったのかは、今後のルーネスを見ながら判断していくことにしましょう。
部屋の中にはホマクという人もいたので、話しかけてみます。名前があるくらいですからダーンとともにこの村でのイベントに一役買うのでしょう。ニーナ母さんを大事にするんだよ、とホマクさんは言ってくれました。みなしごであるという自覚が半ばあったらしいルーネスですから、きっと物心ついた頃からニーナ母さんのことは大事に思ってきていたんじゃないかと勝手に思っています。だって、今知りえる状況では、ニーナさんは未婚の年若の女性ですよ。それがトパパ村長の元で子育てに従事していたわけですから、いろんなことに対して我慢を強いられてきたことは目に見えます。一緒に住んでいるルーネスが、(若干天然入っているとしても、)ニーナさんの苦労を見ていないわけはないと思うのですよ。
ある日、村人の噂話で自分がみなしごであることに気づいてしまうルーネス。しかし、家に帰ると満面の笑みで「おかえり」と言ってくれるニーナさん。言えません、自分がみなしごかどうかなんて、ニーナさんに気安く問いかけられません。
とまぁ、こんなエピソードを容易に想像させてくれるわけです。ニーナさんという育ての親がいてくれるだけで、ルーネスも好奇心旺盛なだけでなく、実は人への優しさも持ち合わせているという属性がくっついてきます。ホマクじいさんに言われるまでもなく、ルーネスは多分、優しい子でニーナさんを大事に思っていることでしょう。
ここまでルーネスのキャラを固めてきましたけど、なんか覆すようなイベントが起きたら困るなぁ。「好奇心旺盛」「活発」「問題児」「優しい一面」こんな感じで割と模範的な少年漫画の主人公像と重なってくれました。それに加えてあのルックスですから、クラスでも人気者になれそうですね。あんまり性格的にアクが強くない部分でインパクトに欠けますが、そういうところは脇役に補ってもらうことにしましょう。