地震によってできた穴に不覚にも落っこちてしまった好奇心旺盛なルーネスは、何やら不思議な洞穴を発見し、地上に戻るべく穴の中をたどるのでした。穴の中の割には、幾分か明るいので助かりました。さっきの地震で他にもいくつか穴が開いて、地上から光が漏れ届いているのかもしれませんね。これが真っ暗な洞窟だったら、何の準備もないルーネスは途方にくれるところです。ジメっとした岩壁をつたってトボトボと進むのでしょう。それどころかここが洞穴であることにも気付かず、落ちた穴をなんとか昇ろうとあがくことでしょう。それでもって、疲弊したところを夜目のきくゴブリンにタコ殴りにされるのでした。あぁ、光って大事。ルーモス、光を!レミーラ、レミラーマ。
さて、洞窟内には宝箱がたくさん落ちていまして、初期装備品としてロングソード、かわのたてなどの武器・防具や、ポーションといった回復用品、そして「南極の風」という涼しげなアイテムをゲットしました。まだエアコンが発明されていないこの時代、きっとこの南極の風という商品で、人々は暑い夏をやりすごしていたのでしょう。具体的にどんなアイテムなのかわかりませんが、多分、扇かファンのような送風具でしょう。新型扇風機「南極の風」新発売!なかなかいいネーミング。
さて、装備も充実したルーネスが洞窟を進んでいくと、なんだかちょっと違和感のある岩がみつかりました。「おや?あの岩 なんか変だぞ」と一人なのに口に出して言ってしまうルーネス。おそらく、暗い洞窟の中で心細い気持ちなのでしょう。初めていったあの町で、プチ迷子になってしまったときのあの気持ちと同じでしょうか。「あれ?こっちじゃないや。」ってついつい口にしてしまいます。
具体的にあの岩のどの辺が変なのかはわかりませんが、アニメでいうところの、背景の水彩画の一部に動きをつけたいため部分的にセル塗りになっているときのあの違和感を感じるのは確かです。近寄ってみるとゴブリンと戦闘が開始されたことからもかなり怪しい岩といえるでしょう。大事なものに近寄るとなぜかモンスターが現れるのは、FFの決まり事なんですね。FF3でもちゃんと踏襲されている様子。
岩をタッチしてみると、突然奥の岩壁が音をたてて移動を開始し、これまで行き止まりだった場所がみるみるうちに通路に変身です。どうやら、調べた岩はこの隠し通路の制御スイッチだったのでした。ということは、一見自然に存在していただけのこの洞穴が、人為的な手が加えられた何らかの施設であったことになります。洞窟はどれだけ時が流れても勝手にスイッチと隠し通路が発生したりしませんからね。長い年月かけて水が作り出した鍾乳石が、偶然この隠し通路のスイッチにっ!なんて自然現象ありえません。誰かが何かを隠す目的でこの洞穴を掘ったか、元々あった洞穴に手を加えたと考えるのが妥当でしょう。それがいつ、誰の手によってのものなのかは、この隠し通路の先に隠されているに違いありません。
というわけで、なんとなく序盤の地下洞穴がそんなに長いダンジョンではないんだろうなという予感から、そろそろ「セーブ」をしておきたいと思います。私がFFから学んだ一番のことは「セーブはこまめに」ですから、ちょっとしたボス戦がないとも限らないこの状況下では本能がセーブを促すのでした。
「ルーネス・すっぴん」とステータス欄にありますが、このすっぴんというのが、夢にまでみたあのジョブシステムのジョブ表示欄ですね。そもそも化粧をしていない女性を指す言葉だと思うのですが、何の専門職にもつかずに何色にも染まっていないまっさらな自分を表現するにはなかなか秀逸な単語だと思います。今だったら、「ニート」なんて呼ばれかねません。それではさすがに恰好がつきません。
で、肝心のセーブのメニューがグレーアウトしていてできませんでした。なんだろう、まさかFF2の序盤の黒騎士戦みたいに強制的な死が待ち受けているのではないでしょうか。セーブしたところで無駄だよ、みたいなメッセージがこのグレーの文字にこめられていたりして。この洞窟でのたれ死ぬまでゴブリンと闘わなければいけないなんて、そんな運命辛すぎます。
セーブしたい気持ちを我慢して、仕方なく隠し通路を進むと初めてゴブリン以外の敵に遭遇しました。名前欄には「カーバンクル」とありますが、何かの見間違えでしょうか。私の中でカーバンクルといえばアルル・ナジャの肩に乗っているあいつです。ぷよぷよフィーバー。あの愛らしいキャラクターがファイナルファンタジーでは、まるで青いメーダのような姿かたちになってしまいました。はたして、背中の宝石っぽいところからビームが出るのかどうかが注目されます。
丸く磨きあげられたザクロ石のことをカーバンクルと呼んだりもするらしいです。元ネタは額に赤い宝石を持つUMAだそうですが、こちらのカーバンクルはどうみても青いです。ひょっとしたら、怒ったら赤く発光し、仲間と大挙して風の谷を襲撃するかもしれません。
結局、隠し通路を先に進んでも、これといった変化はなく、ただただ洞窟が続くばかりでした。宝箱から得たポーションの数が二つ、一つは既にゴブリンから受けた傷を癒すのに使ってしまいました。先のみえないこの洞窟で残されたポーションをどのタイミングで使っていくか非常に心細い状況です。
といったところで、うまくゲームのバランサーが反応しました。まさか序盤の序盤でプレイヤーを突き放すようなことはないと思っていましたが、思わぬ回復ポイントを発見しました。その名も「泉」です。理由はわかりませんが、不思議な色をした泉の癒し効果からかルーネスの体力・魔力は全回復します。
ドラクエなんかでも水辺の癒しスポットは多いですね。何かモチーフがあるのかもしれません。国産のゲームゆえ、お風呂みたいな場所ではリラックスしてしまうプレイヤー心理を巧みについているのでしょうか。桃太郎伝説でも銭湯で回復するし。ルーネスの年齢だともう女湯には入場制限がかかります。
お風呂に限らず、水そのものにフィジカル面との相関が強いんだと私は思っています。人間、ほとんど水ですから。血が濁れば簡単に体調が悪くなるものです。澄んだ水を飲んで、汚れた水を排出すれば、いい感じの循環が生まれて健康になるのです。フィジカルが回復すれば、それに伴ってメンタルも改善されるので、HPもMPも一気に回復するんじゃないかな。
リフレッシュし、回復ポイントも確保したので、安心して先に進んでいくと、デコボコした洞窟の壁ではなく、石造りの建造物が眼前に広がりました。やっぱり、ここは人工的な施設だったのでしょう。階段を上ってその建物に侵入してみると、部分的に崩れてはいますが、なかなか立派な作りになっています。静謐でミステリアスな雰囲気は神殿のそれを思わせます。
が、突如その静寂が打ち破られます。上から巨大なランドタートルが降ってきたのです。こいつもルーネス同様、地震でできた穴から落ちてきたのでしょうか。それとも、この建物に関連したモンスターなのでしょうか。よくわかりませんが、FFでは宝物をモンスターが守っているシチュエーションがかなり多かったことから考えると、この先に間違いなく何か大事なものがあるのでしょう。
しかし、やんちゃなルーネスの現在のレベルは3です。戦力的にこの大きな亀を倒せるでしょうか。っていうか、ランドタートルってこんなにでかかったんですね。FF2でも登場したと思うんですが、このサイズは予想外です。
チマチマと打撃を与えていたのですが、この大きな亀は一向に倒れる様子がありません。こちらのダメージも地味に蓄積してきています。こんなことなら泉の水を瓶にでも汲んでおけばよかった。こうなったら仕方ありません。人類の叡智・エアコンの代替「南極の風」の出番のようです。どうも利用すると氷魔法系の威力を発揮するらしく、ランドタートルに40前後のダメージを一挙に与えることに成功しました。手持ちにもう一つ南極の風があるので、これを使ってしまえばきっとランドタートルも簡単に倒せることでしょう。が、なんとなく勿体ないという私の貧乏根性が働き、ランドタートルにとどめを刺すまではずっとロングソードで殴り続けていました。
誰かが恣意的に送り込んだかのようなランドタートルを倒すと、ルーネスは誰かの気配を感じます。そういうところは敏い子のようです。その気配に意識を集中させ、DSの下画面を見つめましたが、残念、気配の正体は上画面から語りかけてきていました。油断すると上画面を使ってくるので怖いですよ、このゲーム。Aボタンをうっかり連打しようものなら、上画面の重要メッセージを読み飛ばしてしまいます。
気配の正体がいうことには、ルーネスは「闇の大地」から「希望」をもつ者として選ばれてやってきたのだそうです。ということは地震で地面が割れて、この洞窟に落とされたというところからして、仕組まれた出来事であったようです。ルーネスが元いた地上を闇の大地と呼んでいるあたり、地上が悪い方向に向かっていることを知る何者かの作為のようです。が、そんなことは意に介さず、単純に地上と地中ではどちらかというとここの方が「闇」だよなとか感想を持つルーネスなのでした。
ルーネスが持つ「希望」というものの正体は、きっとストーリーが進むに連れて明らかになっていくことでしょう。まぁ、簡単に言い換えれば、悪を倒す存在ってことなんでしょうけど、もっとこう心ときめく能力なんかに目覚めてくれると俄然張り合いがでてきますね。伝説の武器防具を装備できるとか、モンスターを仲間にできるとか。
声に呼ばれるまま、祭壇のようなところを上っていくと、ルーネスの頭上(上画面)にクリスタルがキラキラと輝いていました。どうやら先ほどまでの声の主はこのキラキラだったようです。鉱物のくせに人語を話すなんて、軽く妖怪染みていますが、あまり深く考えずにクリスタルの言うことを聞いておきましょう。なんといってもクリスタルには世界の調和を保つ莫大な力が秘められています。こいつがカオスに侵食されただけで、水は濁って、台地が腐り、風は止まってしまうのです。
クリスタルさんのいうことを聞いておけば、多分いい感じに世界は平和になると踏んで、最初の指令「仲間集め」を実行に移すとしましょう。ルーネスの退屈な日常に変化が訪れたのでした。「仲間」とかちょっと照れ臭い感じですが、まだ見ぬ相棒に胸を膨らませるルーネスなのでした。好奇心旺盛なのでそんなの大好きなはずです。具体的にどこでどう遭遇するのか指示はありませんでしたが、きっとクリスタル様のお導きで全員揃うことになっているのでしょう。まずは、どこかカジノのある大国で水晶占いをしてもらうのがいいと思います。
一連のクリスタルからの要請にルーネスが泡を食っていると、言いたいことだけ告げたクリスタルは光り輝いて消えていってしまいました。もう少し、説明をいただかないと不安な年頃なんですけどね。まぁ、社長と平社員ぐらいの力関係なので、クリスタル様にお時間をとらすわけにもいかず、とりあえず、「仲間探し」というミッションだけを頼りに話を進めていくことにしましょう。無事にアルクゥ・レフィア・イングスを拾ったときに、またクリスタル様からの啓示をいただけるようなので、そのときまでには課長ぐらいの実績は積んでおきたいと思います。