闘争と許し
自分達が地獄どころか実は天界にいることに気が付いたミンウは、その天界の主となった皇帝の半分から、もう半分の所業について謝罪を申し入れられているところです。元が一緒だから、責任も一緒ってことですね。通常、人間は分裂しませんから、人間界の法律はこういった分裂しちゃうプラナリア的生物には適用しづらい面もあると思います。被疑者・甲が甲Aと甲Bに分裂した場合の量刑はどうなるんでしょう。懲役刑なら単純に期間を半分にすべきか、はたまた甲Aと甲Bの責任範囲を明確にして主観的な部分を量るべきか。これがクローン人間であれば、生物個体としては別に扱うという判断でも十分な妥当性がありそうですが、善い皇帝にも悪い皇帝にも分裂前の記憶が共通して存在するようです。このケースでは、「二重人格」の人の責任能力を問う判例が参考になるかもしれません。解離性同一性障害を医学的に証明でき、なおかつ、犯行時の責任能力が善い皇帝になかったのであれば、彼を責めることはできなくなるかもしれません。
なんて変な話で始まってしまいましたが、さて、彼の謝罪をスコットは受け入れることができないようです。ちょっと感情的になりすぎている気もしますが、カシュオーンの惨状を思い出せばその気持ちはわかります。大きな城の中に人気はなく、太陽の炎だけが煌々と燃えさかっているあの空虚を生み出したのは、ここにいる皇帝です。謝罪の言葉にどれだけ意味があるというのでしょう。亡くなった人はもう戻ってくることはないのです。