国産RPGの二大巨頭「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」。ドラクエ派の自分にFFがプレイできるのであろうか?

できるかなファイナルファンタジー

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闘争と許し

許しを請われてもなあ自分達が地獄どころか実は天界にいることに気が付いたミンウは、その天界の主となった皇帝の半分から、もう半分の所業について謝罪を申し入れられているところです。元が一緒だから、責任も一緒ってことですね。通常、人間は分裂しませんから、人間界の法律はこういった分裂しちゃうプラナリア的生物には適用しづらい面もあると思います。被疑者・甲が甲Aと甲Bに分裂した場合の量刑はどうなるんでしょう。懲役刑なら単純に期間を半分にすべきか、はたまた甲Aと甲Bの責任範囲を明確にして主観的な部分を量るべきか。これがクローン人間であれば、生物個体としては別に扱うという判断でも十分な妥当性がありそうですが、善い皇帝にも悪い皇帝にも分裂前の記憶が共通して存在するようです。このケースでは、「二重人格」の人の責任能力を問う判例が参考になるかもしれません。解離性同一性障害を医学的に証明でき、なおかつ、犯行時の責任能力が善い皇帝になかったのであれば、彼を責めることはできなくなるかもしれません。

怒っていいのか悩むなんて変な話で始まってしまいましたが、さて、彼の謝罪をスコットは受け入れることができないようです。ちょっと感情的になりすぎている気もしますが、カシュオーンの惨状を思い出せばその気持ちはわかります。大きな城の中に人気はなく、太陽の炎だけが煌々と燃えさかっているあの空虚を生み出したのは、ここにいる皇帝です。謝罪の言葉にどれだけ意味があるというのでしょう。亡くなった人はもう戻ってくることはないのです。

争い続けてごめんしかし、ここから善い皇帝の変節が始まります。正座までしてミンウを出迎えてくれていた皇帝ですが、謝罪を突っぱねたことにカチンときたのか、「許せない」スコットに人間の限界を感じるという趣旨の発言を繰り出してきました。人間が地上で争いを繰り広げていたのは、性であり業であるのでしょう。でも、戦争の相手を許すことができなければ人間は一生争いを続けるだけの存在になってしまうのだよ、と暗に含んだ言い回しです。つまり、人間って馬鹿だねって言ってます、この人。上から目線この上なしです。少し化けの皮がはがれてきたんじゃないでしょうか。

永遠の命その上、皇帝は許しさえすれば、永遠の命が保証される旨の発言を繰り広げだしました。数年前、近所のマクドナルドで二人組の男性がコーヒーを飲みながらそんな話をしていたのを思い出しましたよ。何だか神様の教えがどうのこうのというパンフレットが机の上に並べられ、体格のよい男性の方がしきりに「今のままだと君は危うい」とか「信仰によって未来が変わる」とか言い寄っている感じでしたっけ。一方のやや貧弱そうで覇気のない男性は、一方的にまくしたてられて及び腰になっていました。これが世にいう新興宗教の勧誘風景なのかなと、なんとなく雰囲気で察しましたが、あの気の弱そうなお兄さんは、果たして自分の意思で入信するなり、拒否するなりできたのでしょうか。がっちりしたお兄さんの異様な迫力に押し切られる未来が容易に想像できましたが、こういう交渉の際のポイントは、逃げ道を潰して、甘い餌を手前にまいておくことなのだなぁと学ばせていただきました。今、皇帝から「永遠の命」という餌がミンウやスコットの前にばら撒かれたところですね。そこまでして「許し」を請う皇帝の真意は不明ですが、永遠の命と天秤にかけたら口先だけでも謝っておいて損はなさそうな気がします。

楽園のイメージではないしかし、ここはリチャードが冷静に考えます。ここで永遠に生きるって言われても、アラボトだかラキアだかマハノンだかしらないけれど、とてもじゃないけどこんなところを楽園とはみなせない、とのことらしいです。そういわれてみれば、地上で永遠に生きながらえるのと比べて、天界での生活には娯楽が少なそうです。武器屋の品揃えもイマイチだし。いや、トブールさんの腕が悪いとかではありませんよ。きっと良質な鉱物がないんでしょう。堕天使が姿を変えたモンスターに囲まれて、マハノンで余生を過ごすのはあまり楽しそうじゃありませんね。シドだって、飛空艇のないこの世界には退屈しきりでしょう。

命令系退屈な天界生活を想像すると、逆に永遠の寿命が足枷になりそうでこわいですね。下手すると地獄ですよ。慎ましやかに生きて生きたい人にはピッタリかもしれませんが、私らはみんなホモ・ルーデンスなんですよ。職業・遊び人として、彼の謝罪はきっぱり拒否しておきましょう。
ところが、皇帝は皇帝で相当空気が読めないのか、「今こそ悪しき私の非礼を詫びよう。さぁ許せ!」と半分命令口調で許しを強要してきました。自分は許されて当然な存在だと信じてやまないのでしょうね。アラボトの主ともなると、誰との間にも争いごとや遺恨を残しておきたくない気質になるのかもしれません。許されないと自分の沽券に関わるのでしょう。だけど、謝り下手過ぎて、ちょっと苦笑。

ゴードンやらヒルダ王女やら甘い餌がきかないとなるや、少し強い態度で出てきた皇帝ですが、その背後に突如数人の人影が現れました。なんと、ヒルダ王女、ゴードン皇子、ネリー、エリナさんと息子のカイン君の5人ではありませんか。彼ら5人に天界へ出現するような能力はなかったかと思いますので、これはミンウたち4人の心象を投影したイメージかもしれません。でも、空中に浮かぶ5人の影はしっかりと自分の言葉で語りだします。そして、「彼ら」がまだ諦めていないことを告げます。

ちょ、フリオニールのアルテマそこで突然画面は悪い皇帝の方と戦闘中のフリオニールにパスされます。しきりに隕石をおとしてくる皇帝に対して、フリオニールがアルテマで応戦しています。・・・フリオニール?・・・アルテマ?自分のセーブデータでは、アルテミストはマリアだったのですが、そこら辺の私の事情を一切考慮することなくフリオニールがアルテマを放っています。しかも、熟練度も相当上がっている様子で、皇帝に見たことのないようなダメージを与えています。いやはや、アルテマはマリアじゃなくてフリオニールが覚えるもの、というのが公式見解であることは十分わかりました。あと、マリアは後衛に下げるというのも公式みたいですね。もう、なんかガッカリですよ。私のフリオニールはアルテマが使えないフリオニールです。FF好きの人はきっと私がマリアにアルテマを覚えさせたのをブログで読んで、後ろ指を指して笑っていたに違いありません。FF初心者だからといって許されるミスではありませんね。ミンウが命を賭してパスしたボールを、フリオニールがスルーパスでマリアに流したわけですから。もうね、いろんな人に謝りたいです。

強くなれよフリオニールも頑張っているんだから、お前らも誘惑に負けずに戦えよ、というアオリが入ったので、とりあえず気分は臨戦体勢にありますが、まだ、みんなもうちょっとしゃべりたい様子です。一人ずつどうぞ、というわけで何人か紹介しましょう。カイン君はリチャードに「ぼくの将来の夢」というタイトルで作文を発表してくれました。将来は竜騎士になるのが夢なんだそうですが、竜騎士になるのをゴールにしないでくださいというのが、私からのメッセージです。竜騎士になったあと、何をするかが大事であると、大企業の入社式での人事部長の訓示のようなことを言わせてください。おそらく、この後地上の世界は混乱が徐々に収束していき、彼が青年になる頃には随分と平和になります。平和な世界における竜騎士のような戦闘職種の扱いは急激に悪くなるのが常ですので、もしも彼が竜騎士の繁栄を望むのであれば、戦闘訓練よりも厳しい課題が待っていることでしょう。まずは飛竜の繁殖ですね。最後の一匹になった飛竜を生物学的にも遺伝情報を保ちつつ繁殖させなきゃなりません。ひょっとしたら、竜騎士族秘伝の情報がディストの廃墟あたりに残っているかもしれませんので、交配方法を探る作業を行ってもらいましょう。あとは、自分の血筋を残さないとですね。この世界の結婚観がわからないのでなんともいえませんが、効率を重視するなら複数の女の人と関係を持つことになります。あぁ、なんかもう気が遠くなりそうな大変な未来が彼には待ち受けていそうですね。元を辿れば、飛竜に乗るのに血筋はあまり関係ないようでもあるので、徒弟制度を敷くのもありなのかもしれません。「君も飛竜に乗らないか!?」みたいな張り紙をフィンの城下町に貼ってまわりましょう。自衛隊募集のポスターみたいな感じですね。

お前は汚点だ続いて、我らがへたれ皇子・ゴードンです。彼は兄・スコットを失うまでずっと自分の能力の低さを嘆いて生きてきた生粋のブラザーコンプレックスの持ち主です。ここでも、兄さん賛美を忘れることはありません。「兄さんはカシュオーンの誇りだ!」じゃあ、弟のお前はカシュオーンの汚点だ、と心の中でツッコミをいれかけましたが、彼は彼でフィンの中で司令官としてがんばっていたようなので、ここは純粋に兄貴を応援する弟としてみてあげましょう。

脅迫気味一通りエールを聞き終えると、ミンウたちはもちろん気分が盛り上がっちゃってきたわけですが、この皇帝はイマイチ空気が読みきれていません。「永遠の命」さえちらつかせておけば、なんでも話が通ると思っている節がありますね。ミンウが首を縦に振らないので、ちょっとイラついてきたようでもあります。

北斗の拳!そこでスコットがトドメの一撃です。「私はすでに死んでいる・・・!」これはかつて北斗神拳伝承者のあの人が敵に向かって放つ名台詞に似た何かじゃないですか。多分、この後の戦闘で「無想転生」とか「北斗百裂拳」とか繰り出す気満々ですよ。皇帝の末路は以下の選択肢から選んでいただくしかありませんな。

1.ひでぶ
2.あべし
3.たわば
4.しゃらべっぽ

「しゃらべっぽ」を選んだあなたは中々のとんちんかんです。

恥は変な顔だけで要するに、ここにいる4人は生にしがみついているわけじゃないよ、と皇帝に伝えてあげているのでしょう。そして、この場で「永遠の命」を選択するのはかっこ悪いよと、優しく噛み砕いて理解力の不足した傲慢な皇帝に教えてあげているのです。ネリーも見守っているので「生き恥をさらすわけにはいかん」とヨーゼフも猛っています。さっきスコットは自分を死んでいるといったばかりなんですが、ヨーゼフは生きているんですかね。生きているのか、死んでいるのか、宙ぶらりんなのはあいかわらずといったところでしょうか。

後継者難を逃れましたリチャードからはカイン君へのアンサーになぞって、皇帝に後悔はない旨の発言がありました。「私の意思を次ぐ者たちがいる・・・。」これは竜騎士の存亡のことに合わせて、世界の存亡のことにもひっかかっていますね。カイン君以外にもフリオニールたちがいるから、自分は安心して死ねるんだと、そういった意味合いだと思います。

スコットも?そして、締めはミンウです。「我々は、一度死を選択した・・・。」これすなわち、最初の選択に後悔など微塵もないということでしょう。ミンウはアルテマをフリオニールに託した段階で、自分の運命には満足がいっていたみたいですし・・・すまん、マリアに本を渡して本当にすまん。ヨーゼフやリチャードもフリオニールたちを救うべく自分の命を犠牲にしたのでした。・・・スコットは、必ずしも選択して死を受け入れたわけではなさそうですが、まぁ、強引に解釈をするのであれば、国や弟のために命を投げ打って戦ったわけですから、その結果に後悔はないでしょう。いや、多分ヒルダ王女には申し訳ないことをしたな、ぐらい思っているかも。義理と人情の板ばさみにあいつつ、義理をとって亡くなったのもまた彼の選択ということでしょうか。

新たな生ですそして、そうやって選択した死という結末は決して「死」ではないというのがミンウの言い分です。ここら辺のくだりは多分、ミンウの一番の見せ場です。ミンウたちは確かに肉体としては死にました。でも、それが単なる死ではないと、自分たちの選択に意義を見出そうとしているのです。「運命」という言葉が大好きなミンウですから、意味もなく自分が死ぬなんて考えられません。この一連の流れは必然なのです。ちょっとxxxHOLICみたいに言ってみました。

架け橋ですじゃあ、彼ら4人は何のために生まれて、何のために死んだのかというと、「命をつなげるため」なんだそうです。ここでこれまでのキーワードだった「フリオニール」が出てきます。フリオニールに何かを託して死んでいった4人が、なぜかラキアに落とされた。これがこの追加シナリオの導入です。そして、その結論が「フリオニールに命をつなげるため」にこのアラボトで皇帝の分身を倒すというところにつながってくるわけですね。ここでいう「フリオニール」は単純に彼個人でもあり、その他の地上に残された人たちも指すということでよろしいでしょうか。「フリオニール」は、パラメキア皇帝の抑圧を打破する民衆の力の象徴となる言葉なんだと勝手に解釈しています。

手のひらを返しますここまで言いたいことを言われて、天界の主もついに怒り心頭に発します。さっきまで謝罪を述べていた口元も硬直し、「おろかな人間どもよ・・・」と4人の決断をたしなめます。所詮、内心は「愚か」だと思っていた人間に謝罪のフリをするだなんて、なかなかの侮辱ですね。生前、彼が人間だったときには、既に彼は超然とした態度で、何万人もの人を虐殺してきました。それが、天界の主となってさらに力を増して、人間を馬鹿にしているのですから話になりません。はたして誰がこんなやつをアラボトの主に任命したのでしょう。多分、ジェミニのサガのように前主を暗殺して成り代わったに違いありません。
そして、永遠の命を目の前にぶら下げて、ミンウたちを懐柔しようとしたのは、ミンウたちが彼にとってある程度の脅威に育っていたからに違いないでしょう。「世界の半分をやろう」という誘惑にも打ち勝った過去がある私には、今回の永遠の命も効果はありませんでしたがね。(注:読み返さないでください。)次回、いよいよ決戦です!