命の恩人・ミンウ先輩を失ったフリオニールの手の中には、アルテマの本が握り締められていました。表紙とかちょっぴり涙に濡れています。偉大な人を亡くしてしまいましたが、いつまでもクヨクヨしているわけにはいきません。ことの顛末を全てヒルダ王女に報告するのもまた任務です。きっと、なくだろうな、ヒルダ王女。臣下思いの強い人ですから、表面上は気丈にふるまっていてもくわえタバコが逆さまになっちゃうに決まっています、リサリサ先生。
さて、このアルテマの本を取得する長い旅路の中で、フリオニールとガイのHPが2000を超えました。おめでとう、パチパチ。ドラクエ派の自分としてみたら、HPが999を越えた時点でもうものすごいことなんですけどね。それにしても、HPって何を数値化したものなんでしょうね。ヒューレットパッカードでも、ホームページでもなく、たしか「ヒットポイント」を略した言葉だったと思いますが、直訳すると「打撃点数」なので、「打撃点数が2000を超えた、ばんざーい。」なんて訳すと攻撃力が上がった気持ちになってしまいます。おそらくは「死ぬまでの打撃の許容点数」という意味なのだと思います。従って、「打たれ強さ」という項目名なんかがふさわしいと思うのです。昔のフリオニールはゴブリンに10回グーでパンチされたら死んじゃうような打たれ弱いボクサーでした。今はもう100回グーパンチされても余裕です。防御力の成長を抜きにしてもです。
それじゃ現実的に打たれ強さって何なんでしょう。どうやって鍛えるのでしょう。例えば、公園で小さい子供がはしゃいでいたとします。この子供はふとしたことでバランスを崩してよく転びます。そしてビービー泣きじゃくりだします。心が折れたのでしょう。そのときのこの子のHPを10だとしましょう。この子は毎日のように公園にきて遊んでいますから、毎日のようにバランスを崩して転びます。その度にビービー泣いていたわけですが、ある日、突然転んでも平然と立ち上がり親の顔をみて笑みすら浮かべる日がやってきます。このとき彼はレベルアップしたのです。熟練度が上がったといってもいいでしょう。そして、最大HPが13ぐらいになっているはずです。
もう転んでも泣かなくなった彼ですが、ある日余所見をしていて電柱に激突してしまいます。でも、泣きません。HP13は電柱にぶつかっても泣かない程度の能力があります。ただ、電柱にぶつかった直後、頭がクラクラしてフラフラしていると、バランスを崩して公園に行く途中で転んでしまうのです。そのとき彼はついに泣き出します。電柱の件でHPが5に下がっていたからです。
こんな感じで打たれ強さを数値化して加算減算できるようにしたわけですね。もちろん防御力も成長とともに上がっていきますから、徐々に子供は転ばなくなります。なお、大人になってから転ぶと気恥ずかしさから「痛恨の一撃」を食らうこともあります。
HP2000を超えたフリオニールは、それでもミンウさんの喪失には堪えがたい痛みを感じていました。HPとは別のメンタルな数値は激減です。ミシディアの塔をあとにして、ヒルダ王女の元に帰る途中でもボーっとしていました。ボーっとしすぎて、かつての反乱軍のアジト・アルテアに間違って帰ってきてしまいました。うっかりしてましたが、既にフィンの城は敵の手中から奪還してありますので、ヒルダ王女もフィンの城にいるのでした。習慣って怖いですね。引っ越してもついつい前の家に帰ってしまうという。でも、なぜかアルテアに入れませんでした。どうも反乱軍がアジトを引き払って以降この町は捨てられたようなのです。大戦艦の爆撃を受けて壊滅しかけていたからなんでしょうか。いつか復興して人が住めるようにしたいですね。
で、そのまま北上してフィンに向かう途中ガテアの宿にでも寄ってみようと思ったところ、なんとガテアにも入れませんでした。そうか、ここも大戦艦の爪あとがひどかったですからね。生き残った人々はみんなフィンの城にでも非難しているのかもしれません。
仕方がないのでフィンの城下町で宿をとることにしました。するとこの町で真実を知ることになりました。なんでも竜巻が突然発生して、ポフト、パラム、ガテア、アルテアの4つの町はその竜巻に飲み込まれてしまったとのこと。既に壊滅状態だったあの4都市を襲う竜巻って何なんですか?ピンポイントで狙ってきてるあたり、誰かの作為を感じます。誰が何のためにそんなことをするというのでしょう?あんまりメリット感じなくないですか?おそらくは戦争相手のパラメキアの皇帝の魔力(バギクロス)によるものなのでしょう。でも、自分だったら、いの一番にフィンを狙いますけどね。ガテアなんて放っておいてもよさそうな寂れ具合でしたもの。まぁ、反乱軍の基地になりそうな施設を予め崩壊させておくという作戦なのかもしれません。
城下町にはポールさんも居を構えていらっしゃるので、今回の災害についてお話を聞いてみました。フィンにいたこの人なら何か新しい情報を持っているかもしれません。ところが、ポールさんも竜巻を目の前にしてちょっと及び腰です。世紀の大怪盗も自然の巨大なエネルギーの前には、牙をもがれてしまうのでしょう。今までの活躍ぶりから、この自信を失ったポールさんがどうして想像できるでしょうか。こんなのポールさんじゃないやい。竜巻を逆に利用して盗みに入るぐらいの天才ぶりを期待していたのに。そして、フリオニールに対しても諦念を押し付けてきました。今回ばかりは数々の奇跡を成し遂げてきたフリオニール一行でも、対処のしようがないというのです。
まぁ、竜巻ですからね。普通に考えて立ち向かうだけ無駄ってもんです。リバイアサンの渦巻きにだって飲み込まれるしかなかったんですから。
こうなったら、一度お城に戻って、ヒルダ王女の元、対策会議を打つしかありません。フィンだっていつ標的にされるかわからないですから、早めに対策を弄しておくに越したことはありません。城の兵士たちもやはり竜巻の一件で動揺しているようで、一様にそんな話をしています。フリオニールはそこでふと一人の人物を思い出します。ポフトにいる飛空艇使い・シドのことです。よもやあの兄ちゃんが竜巻に巻き込まれて死んでしまうなんてことはないと思いますが、ちょっとだけ心配だったりします。シドはさておき飛空艇は人類に残された最後の文明です。空を飛ぶという人類の夢を実現する道具は今や一艇を残すのみです。竜巻にかかってはさすがに飛空艇もペシャンコでしょうから、シドと一緒に無事にポフトを脱出してくれていることを切に望みます。
さらに、兵士達の話からどうもパラメキアの皇帝自身があの竜巻の中に身を潜めているという情報が舞い込んできました。お前達そんな情報どこから仕入れてくるんだよ。その身に竜巻をまとう皇帝の姿を想像してちょっと噴出してしまいましたけどね。あの能面顔でドラクエのかまいたちのような出で立ちをされたらちょっとオモシロすぎます。ということはやはり、一連の竜巻騒動はパラメキア皇帝の魔力によって引き起こされたものと考えていいのでしょうね。多分、竜巻を阻止する方法は、何らかの手段で竜巻の目に入って、皇帝の魔力を停止させることになのでしょう。
様々な情報や憶測を受けて、いそいでヒルダ王女の御前に参上仕りますと、やはりヒルダ王女の口からも竜巻という単語がのぼせられます。いまや国が一丸となって、竜巻対策のことで持ちきりといったところでしょう。そして、みんながソワソワしているのは、有効な対処法がみつけだせないでいるからなんでしょう。残念ながら、マリアにはバギクロスは使えませんので、逆回転の竜巻を人為的に引き起こして回転力を削るようなこともできません。ミネアという名前の占い師を探しだすのが、最優先事項となりそうです。
さて、ふと気付くとヒルダ王女の横にどこかでみたような女性が立っています。・・・フリオニール卒倒。レイラさんが生きてフィンの城までたどり着いていたのでした。この女、リバイアサンによって壊された船から泳いで岸までたどり着いたというのです。さすが、海賊の頭領をやっていたことだけはあります。遠泳はお手の物だったのでしょう。はて、フリオニールはあのリバイアサン事件の際にどさくさに紛れて、パーティーの和を乱すこのレイラという女を亡き者にしたのだとばかり思っていましたが、どうやら詰めを誤ったようです。やはり直接手を下すということは、物語の主人公的にはできなかったのでしょう。そして、あの嵐の海を泳ぎきる女性がいるなんて人生経験の浅いフリオニールにはわからなかったのです。女は怖い、改めてそう感じたフリオニールでした。とりあえず、表面上はレイラさんの無事を祝っておきますが、今後が気が気ではありません。ある日突然校舎裏に呼び出されて、「フリオニール、あんた私のもやい綱を切ったね?」なんて台詞で脅迫され続けることになりかねませんからね。レイラさんとの確執は今後ともフリオニールを悩ませることになりそうです。
さて、一応ゴードンのやつにも話しかけておきましょう。たくさんの兵士に囲まれたこの部屋にあっては、表面上こいつも敬っておかなければなりませんからね。ゴードンは「空でも飛ばない限り竜巻に入ることはできないだろう」なんてとんでもないことを言い出しやがりました。この言葉の裏にはもちろん、「フリオニール、お前達なんとか空を飛んで竜巻の中に入ってこいよ。(そして死ね)」という意味が隠されています。このゴードンの言葉に周りの取り巻きから賛同の声が上がり、どうもフリオニールは空を飛ばなければならないムードが出来上がってしまいました。そんな無茶ぶりされても困ります。ただ、この空気の中、空を飛ばなければチキン野郎ということになりそうです。そして、万が一飛んでもきっと竜巻に八つ裂きにされてしまうという究極の二択を迫られた状況です。
とりあえず、空を飛ぶもので思いつくのが一つしかなかったので、大人しくポフトのシドの元に向かうことにします。もちろん飛空艇で竜巻に突っ込むという作戦です。と、外に出てみるとフィンの城の背後にもう竜巻が差し迫っているじゃないですかっ!ちょっ、これやばすぎでしょ。これだけ近いと既に風の余波が城に及んでいる感じです。竜巻をどうにかするとかいってる場合ではなく、まず国民を避難させるのがトップが下すべき判断じゃないでしょうか。おそらく、ヒルダ王女のそんな考えを、ゴードン派閥が握り潰したに違いありません。せっかく奪還した城を手放したくないという浅はかな考えがにじみ出ています。国は城ではないのです。民あっての国なのです。城を捨ててでも人を生かすべきじゃないのか、ゴードン。
でも、フィンの国民にしてみてもせっかく戻ってきた故国を捨てるのは辛い決断でしょう。日本でも震災によって避難生活を余儀なくされる人々がいますが、テレビのインタビューなどでは、みんな口をそろえて「はやく帰りたい」といっていました。そんな中、せっかく戻ってきた自分の家から、間をおかずに災害が発生して再び避難しろと言われたら、ちょっと頑固なお年寄りなら「ここで骨を埋めたい」なんていいだしかねません。
正直、個人の意思を踏みにじってまで避難させるようなことはしたくありません。政治家だって苦渋の選択をしなくちゃならない局面です。
ならば、フリオニールが立つしかないでしょう。あの竜巻をデリートする。それがフィンの国民の願いなのです。結果的にゴードンの言うとおり動かされてしまうのが癪に障りますが、ヒルダ王女のためにがんばるっす。
・・・そういえばあまりのハプニングにミンウさんのことを報告しそびれたな・・・。