国産RPGの二大巨頭「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」。ドラクエ派の自分にFFがプレイできるのであろうか?

できるかなファイナルファンタジー

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ピノキオは腹の中

渦巻きグルグルミシディアの塔に向かう途中、鳴門海峡よろしくな巨大な渦巻きに巻き込まれ、船の操舵に余談を許さない状況になっているフリオニールたちは、徐々に渦の中心部に船体ごと向かっていき、ついには渦の目に吸い込まれてしまいました。FF2 これにて完!長い間のご愛読ありがとうございました。

生物の中っぽい目が覚めるとそこは、粘膜質の肉壁の中でした。話に聞く天国とも地獄とも様相が異なるので、どうやら死なずに済んだ模様です。レイラさん率いる海賊から強奪した・・・もとい平和的に譲り受けた船はさすがに大破してしまいましたが、みんなが無事なら船はまた造ればいいさ。というわけで、鯨に飲まれたピノキオ状態のフリオニールは、とりあえずゼペットおじいさんを探しに鯨の体内を探検します。もちろん脱出の際には潮と一緒に吹かれる予定です。

フリオニール:ここはどこだ?

私は誰だ?と続かなくて助かりました。フリオニールはまだ自分の立ち位置が理解できていないようです。まぁ、海で溺れて目を覚ましたら巨大生物の中なんていう展開は、ベタなものですが、いざ自分の身に降りかかってみると「えぇえーーっ!?」とマスオさん風に驚いてしまうような出来事です。

密かに抹殺!?さて、パーティーの無事を確認すべく、点呼を行います。マリアもガイも無事なようで何よりです。海水に浸かって衣類がビショビショですが、生物の中なので、それほど寒くはありません。じゃあ、行こうか、とフリオニールが出発の指示を出すも何か違和感を感じます。レイラがいない!?
「僕じゃない、僕がやったんじゃない。」この危機的状況に紛れ、ついにフリオニールはパーティー内の邪魔者を密かに消してしまったようです。そう、レイラさんとフリオニールの確執は根深いものだったのです。ことの発端はラミアクィーンの誘惑にフリオニールが迂闊にのっかってしまったことから始まったのです。一部始終を覗いて、フリオニールがパンツを脱ぐか脱がないかの絶妙なタイミングでマリアとガイを引き連れて入室してきたレイラさんのことを、フリオニールはずっとよく思っていませんでした。あの日からなんとなくマリアと会話を持ちづらく、リーダーシップを発揮できないままでいました。そして、先日、フィン城の地下室でみつけた勇者的アイテム「オリハルコン」までもレイラさんに奪われてしまうという憂き目を見せられたのが決定打でした。フリオニールは待っていたのです、チャンスを。それが今だったのです。
ドッペルゲンガーとともに悪しき心は去ったはずのフリオニールなのになぜ!?本当にフリオニールがやったのかどうかは確認できませんでしたが、心なしか沈痛な面持ちをうかべるフリオニールの絵の奥底に勝利を確信する夜神月(デスノート)のダークサイドと同質のものを感じ取ったのでした。

敵っぽい人立ち往生いない人の心配をしてもしょうがない。まずは自分達の安全を確保しようとマリアたちをなだめ、この鯨の中をダンジョンのように攻略していきます。おそらく、今、フリオニールがいる場所が生物の中なのであれば、口から侵入したのでしょうから、消化器系の器官にいるわけです。ご存知の通り、生物は摂取した食料を体内で消化酵素を使って巧みに分解して栄養素を抽出しますから、胃酸的なものには十分注意しなくてはなりません。ところで、人間の消火器は口から肛門までほぼ一直線なのですが、この生物は迷宮のような胃袋を持っていまして、思うとおりに進めません。ひょっとしたらもう既に小腸のあたりにいて、迷宮のようにみえるこの肉壁は単なるひだなのかもしれません。栄養の吸収を十分に行うために柔毛という突起がびっしりあるのだと、小学校か中学校の理科の授業で習いました。下手に壁に触るといろんな栄養素が吸い取られるような気がして怖いです。
そんな柔毛をかきわけた先には、全身を防具で守ったようなキャラクターが待ち受けているのでした。直立していますが、頭部はちょっぴり鳥っぽいです。魔神英雄伝ワタルでいうところの渡部クラマ(鳥さん)のような鳥人間かもしれません。

新入生歓迎会話しかけてみると、この鳥さんは鳥人間ではなく、変な気味の悪い仮面をかぶったおっさんであることが発覚しました。もう昨今の仮面ブームはすごいですね。南の島の住人の文化が、今時の若い人たちに流行をおこしたのでしょうか。おじさんもチョイ悪を気取って仮面をつけてみましたが、ブサかっこいいというジャンルでギリギリOKです。さて、フリオニールはこの巨大生物のお腹の中では「新入り」なんだそうです。ということは、この仮面の男以外にも誰かが中にいるってことでしょうか・・・よもや、レイラさんが生きて・・・いやいやいや。

竜騎士でしたこのおじさん、話しかけるだけでは先に通してくれないので、とりあえずいろいろ聞いてみることにしました。関係なさそうな単語でもお構いなしに順番にたずねていくとまさかの「竜騎士」に反応しました。

おじさん:私が竜騎士だ・・・。

「えぇえーー!?」(マスオさん口調)竜騎士ってディストで全滅したものとばかり思っていましたが、こんなところに竜騎士を自称する男性を発見してしまいました。それにしても竜騎士って奇抜な格好をしているもんなんですね。「私が竜騎士だ・・・。」よりも「そうです、私が変なおじさんです」の方がピッタリないでたちだと思います。「だっふんだ」って言ってください。
・・・最後の飛竜の話とか教えてあげた方がいいのでしょうか。ディストの惨状とかどこまで知っているのやら。こんな鯨の腹の中でのんきに生活していたのですから、多分、互いに守りあうディストに残された母子のことなんかも知らないのでしょう。飛竜も卵の中にいる一匹で最後です。それともこの竜騎士がもう一匹ぐらい連れているのでしょうか。

ピノキオ状態らしいさらに「クリスタルロッド」の話におよぶと、さらに詳しい話が飛び出してきました。この自称・竜騎士のおじさんもアルテマの本を求めてミシディアの塔を目指す途中飲み込まれてしまったのだそうです。ん?苦労の末に手に入れたクリスタルロッドをなぜかこのおっさんも持っているという展開なんですが、これはどういうことなんでしょう。とにかく、渦潮の中心部の大きな生物に飲み込まれたという当初の予想は見事的中だったようです。

脱出の方法さらに竜騎士のおじさんはテンションが上がったのか、ベラベラといろいろなことを話だしました。なんと、脱出方法が既に用意されているのだそうです。どうもを使って脱出するみたいなんですが、その詳細がどこまで検討されているのかさっぱりわかりません。だって、まずこの巨大生物が海に沈んでいる以上、体内から出たら船だろうがなんだろうがアウトです。深ければ深いほど水圧は高まりますから、出てもペチャンコになるのがオチです。それ以前に酸素のないところで人はあまり活動的ではいられません。そういったもろもろの条件を鑑みるに、最適解は船ではなく潜水艦だと思うのです。かつてオンラクから水のカオス・クラーケンに滅ぼされた海底神殿に向かうときに幽霊さん(推定:元人魚)からもらった潜水艇がひょっとしたら用意されているのかもしれません。空を飛ぼうが水を潜ろうが宇宙に浮こうが、あの手のものは総称して船と呼ばれます。とりあえず、脱出に関して心配はしなくてもよさそうです。

リチャード!?まぁ、いろいろ情報交換をして、急速に親交が深まった竜騎士のおじさんはなぜだかフリオニールのパーティーに参加することになりました。都合よく、4人目の席も空いてますしね。なぜ4人目の席が空いているのかはフリオニールのみが知ることです。どうやら、おじさんもアルテマの本を探しているみたいだし目的地は一緒です。ここから出るには、船の周りにいる強いモンスターを退治する必要もあるようだし、力をあわせていきましょう。
ということで、竜騎士・リチャードがパーティーに加わりましたとさ。ん?リチャードって初めて聞く名前じゃないような気がするんですが、デジャヴでしょうか。よくある名前なせいかもしれませんけど、リチャードはどうやら初出ではありませんでした。最後の飛竜が死ぬ間際に話してくれた「究極魔法を求めてディストから旅立った一人の竜騎士」の名前がそれでしたよ。よく覚えていませんでしたが、念のためにWebで調べたら確かに飛竜はそういっていたみたいです。死の床についている飛竜の遺言にも似た告白でしたが、不謹慎にもフリオニールは聞き流してしまったようですね。リチャード、知ってるよ、お前のこと。とりあえず、ディストの近況などを伝えてやりましょう。

リバイアサンの特徴リチャードの案内で腹の中を進むと、他にも同様にこの巨大生物に飲み込まれた人々がたくさん暮らしていました。机や椅子といった調度品まで用意されていて、もうこの中で人生を終える気満々の様子です。意外と快適な空間なのかもしれませんね。空調もいらないし、適度に海鮮物が補給されるし、船と一緒に生活に必要なものも飲み込まれてきているようです。衣食住完備で、惜しむらくは日光が届かないぐらいでしょうか。刑務所のような環境といえなくもなさそうですが、最近の刑務所は随分と待遇が改善されてきているらしいので、不況になると自分から入りたがる人もいるとかいないとか。
このお腹生活が長そうなおじいさんの話では、この巨大生物の名前は「リバイアサン」といい、「クリスタルロッド」を持つものを片っ端から飲み込んでしまうそうです。って、じいさん、あんたも持ってるのですか。あんまりみんながクリスタルロッドを持っているので、ちょっと釈然としませんよ。ひょっとしてどこかの武器屋にひっそり置いてあったのでしょうか。確かにガテアの武器屋に置いてあってもきっと気付かなかったことでしょう。あぁ、クリスタルのありがたみが台無しです。白い仮面とか黒い仮面とか女神像とか、ちゃんと手順を踏んでクリスタルロッドを手に入れたのはフリオニールだけでしょうに、こうもたやすく他の人の手にクリスタルロッドをみることになるなんて。
ところでリバイアサンってどこかで聞いたことがあると思ったら、ホッブズの「リヴァイアサン」と同じものですよね。世界史でも革命期あたりに出てくる名前だったと思います。法律関係の勉強をするとルソーの社会契約論なんかと一緒に勉強することになると思います。
Wikipediaでひくと「レヴィアタン」というなんだか萌え系な呼称で出てきます。伝説の生き物によくあるように地域によって伝承が異なるそうですが、総じて「海のでかい化け物」という解釈でなんとなくあっていると思います。ホッブズがいうところのリヴァイアサンは、人間ってそのままでは秩序のない猿だけど、そいつらの持つ権利を政府っていう組織に委譲することで社会が保たれていいよねって話です。で、人間の権利の集合体である政府の存在ってリヴァイアサン的に大きいよね、ということで本のタイトルになりました。(読んだことはありません。)でも、これが帝国主義を支える理屈に使われてしまって、自由で民主な考え方からは非難されたんだそうです。
そんな敬意も踏まえて、リベラルでデモクラティックなフリオニールたちはリバイアサンからの脱却を図るのでした。フィンは、王権国家で自由も民主も関係ないけどね。万が一ゴードンが王権を振りかざすことになったら、自由民権運動を起こすつもりではいます。