飛空艇を追いかける大戦艦、その大戦艦を追いかけるチョコボ。という図式でフリオニールは現在、この世界の二大飛空艇のチェイスの顛末をおってチョコボの背にまたがっている状況です。はたしてシドの飛空艇はうまくパラメキアの追跡をまくことができたのでしょうか?とりあえず一行はシドの本拠地ポフトへと向かいます。
ポフトにつくやすぐに衝撃の事実が発覚します。どうやら飛空艇はあの変なアームに捕まってしまった模様です。あんなアームでもキャッチャーの達人の手にかかれば、ぬいぐるみの2個取り、3個取りはお手の物なんでしょうか。しかも、中にはヒルダ王女が乗り込んでいたとのこと。ちょっと待ってください。一国の王女がなんでフリオニールのお迎えに飛空艇に乗り込んでいるんですか。お母さんですか?傘を忘れて息子に雨の中傘を届けるお母さんですか、あなたは?このヒルダ王女は、アルテアにいたときから思っていたのですが、相当民衆に愛されているようです。離婚した後のダイアナ妃と張るぐらいの人気を国民から得ているものと思われます。そんな彼女の人気はやはり気さくに一兵卒のフリオニールをお迎えにいっちゃうところだったりするのかもしれません。しかし、今のフィンは彼女でもっているようなものですから、そんな気安い行動が命取りになります。パラメキアにしてみれば王女さえ叩いてしまえば、反乱軍の指揮も落ち、抵抗勢力が一掃されるってなもんです。だというのに、ヒルダ王女の無茶な行動にはびっくりです。よくミンウに止められなかったもんです。フリオニールにしてみれば、恐縮至りです。ただ、その結果、パラメキアに王女と飛空艇が一度に奪われてしまったことになります。戦況は九分九厘パラメキア優位といった感じでしょう。ここで戦略的にはすぐにヒルダ王女は殺されるでしょうか?それとも、ヒルダ王女は活かされて何らかの交渉に人質として使われるでしょうか。
シドのいた居酒屋にも入っていると、彼の姿もみえません。やはり、王女と一緒にパラメキアの手に落ちたと考えるのが妥当でしょう。シドといえばこの世界で一番飛空艇に精通した男でしょうから、パラメキアとしても大戦艦のメンテナンス等に人材として充てたいのではないでしょうか。そういえば、大戦艦の設計でシド以外の誰かがやったんですよね、きっと。誰だろう。シドは飛空艇を使ってビジネスをしているのですから、飛空艇の製造方法については企業秘密になっているものかと思いますが、どこかで産業スパイが潜り込んで、その製造方法を盗み出したというのでしょうか。それとも飛空艇はシドが一から研究・開発したものではなく、先人が既に生み出していた技術なのでしょうか。永遠に燃え続けるという太陽の炎で飛ぶ飛空艇は確かにこの世界観にあって異質のもののように思います。古代文明的な先進文明が生み出していた失われた技術がシドの手によって甦ったという線も考えられます。FF1のときもそんなでしたよね。北の方の地域が何百年も前には栄えていて、すごい発展していた文明だったのですが、カオスによって潰されたのでした。で、浮遊石を使って砂漠に埋もれていた飛空艇を発掘したりしたのでした。FF1とFF2の前後関係はわかりませんが、ひょっとしたらFF1でナイト・エフエフが乗っていた飛空艇を改良したものがシドの飛空艇だったりとか、想像を膨らませるのも楽しいですね。
ポフトにいても埒があかないので、ヒルダ王女の拠点アルテアに戻ってみます。すると住民や反乱軍の兵士たちは既に王女が略取されたとの報を聞かされてソワソワと動揺している様子です。せっかく太陽の炎を手に入れても、指揮があがるどころかどんどんムードは悪くなっていきます。そんな中、声高にフリオニールを叱責する声が!ツンデレじいさんです。じいさんに言わせればヒルダ王女が誘拐されたのは全てフリオニールたちの責任なのだそうです。そんな暴論に頷けるわけはありませんが、ずっとヒルダ王女のお膝元に仕えていたツンデレじいさんのことです。動揺は人一倍でしょう。口先ではフリオニールに責任を転嫁していますが、内心は「あぁ、あの時わしが姫様をお止めしておけば・・・」なんて感じで後悔しきりといったところでしょう。
ミッションに成功してもツンデレじいさんに怒られる始末のフリオニール。それに追い討ちをかけるようにミンウ様が発言なされました。どうもヒルダ王女の側近のミンウ様は感づいておられたようです。若輩のフリオニールたちにばかり過度に責任の重い任務につかせていたヒルダ王女は、なんとか報いてあげたいとそのようにお考えだったようです。そして、せめてものお心遣いとして王女自らフリオニールを迎えに行くということを決断なされたご様子です。
あぁ、ミスリル銀の件といい、大戦艦撃破の件といい確かにフリオニールは反乱軍入りしてから、不相応な任務を無茶ブリされていましたもんね。しかも大戦艦のときにはミンウさんをつけてもらったにも関わらず大失敗をおかしてますしね。最近はヨーゼフを殺されてしまうという失態もおかしています。さぞかし王女も心配だったことでしょう。
でも、フリオニールに言わせれば、もっと適任者がいたんじゃないかと。こんな右も左もわからないような若造にそんな重要な任務を言いつける方もどうかしているんじゃないでしょうか。
ここでフリオニールは気づかされます。そう、フィンの反乱軍には、もう、人材がいない。居城を失い、それでも「のばら」の元に集ってくれた有志たちも、志なかばに亡くなったり、あるいは諦念とともにパラメキアの軍門に下ったり。大戦艦の壊滅的なダメージを受けて、それでもなお反乱軍を機能させるには、フリオニールですら逸材となってしまうのでした。負け戦になるのが目に見えた状況で、それでもフリオニールは反乱軍に残っていていいのでしょうか?今、ここでフリオニールが抜けてしまえば、反乱軍の機動力はほぼ0です。大盗賊のポールの隠密や白魔導師・ミンウさんの内助の功をもってしても、フリオニールの武力やマリアの魔力のような切り進んでいくパワーを欠いては、パラメキアに対して攻め手にまわることはまかりなりません。決断のときです。もはや、戦力として反乱軍の中核と認識されるフリオニールの身の振り方一つでフィンの存亡が決まります。うまくやれば将来的にフィンの要職が約束されますが、反乱軍を抜けた方が無難に生き残れるのは間違いありません。死を覚悟してゼロサムゲームに挑むかいなか・・・。葛藤するフリオニール。かっこいい死に様で指輪を託してくれたスコット、迎えにきてくれようとした優しいヒルダ王女、身代わりに死んでいったヨーゼフ、うろたえるツンデレじいさん。様々な顔が脳裏をよぎります。
自分に陶酔したい男・フリオニールの結論はもちろん、「勇者」としてこの決定的なピンチを打破し、民衆から尊敬と羨望の眼差しでみつめられることに限ります。パラメキアの天下の下で無難に生きていくなんてフリオニールにできっこありません。
マリアにしたってお兄ちゃん探しは必然的にパラメキアとの接触が必須となります。
ましてや、ジャイアントビーバーと会話がもてる男・ガイが平和を望まないわけがありません。(「動物語話者=平和主義者」の法則)
三者三様、おのおのの決意を胸にフリオニールはRPGの主人公として「勇者」を自覚し始めるのでした。(FFでは勇者という単語はあまり使わないかもしれませんが、ドラクエ派なのでご容赦ください。)