グツコーを破り、無事にドワーフ族の宝「ドワーフの角」を取り返したルーネスは、地底湖から上がって、ドワーフたちの待つ洞窟の上部に向かいます。後ろから明らかに変な影がついてきていますが、プレイヤーとしては見て見ぬふりをしなくてはならないのが辛いところです。影に入ったり、影から出たりというのは、私としては忍法の範疇なのですが、その他にも影を「本人の分身」というメタファーでとらえて、本人と影を対決させるっていう演出をいろんな漫画やゲームでみかけます。とりあえず、自分の影を紛失したらウェンディに縫い合わせてもらうというのが有効な対策なので、もしものときには試してみてください。
ルーネスたちが戻るとドワーフはみな大喜びでした。祭壇前のドワーフに取り返した角を見せると「ラリラリラリホー、どーもありがとー。そーれポポイ」と軽いテンションで祭壇のおまじないを解いてくれました。なんていうか、宝を取られたら露骨にテンション下げるし、気安く「ニンゲン頼んだ」ってグツコー討伐を頼むし、取って帰ったらラリラリ浮かれるし、完全に自分の中のドワーフ像がチャラ男にすり替わりましたよ。要するにオリエンタルラジオのあっちゃんじゃないメガネの方です。でも、ゴツイ。ゴツイチャラ男です。相反する二者を合成するとなんだかとっても残念になりますね。ドワーフには寡黙にハンマーやツルハシを振るっていて欲しかったのです。ゴツイチャラ男・・・ヂャラ男。
しかし、おまじないの解けた祭壇にドワーフの角を戻すやいなや想定内の想定外の展開が待っていました。あの倒したはずのグツコーがルーネスたちの影に化けてついてきていたというのです。わーびっくり(棒読み)しかし、そこは我らが大将のルーネスさんです。「くっ、しまった。」と100点満点の返答で不注意な自分に後悔します。このようなプレーヤーには容易に想像できてしまっていた臭い演出を俗に「志村、うしろ」と呼ぶことがあります。ゲームなどのエンターテイメントにはわかりやすさと意外性が波のようなうねりを持たせて、観客の心理を巧みに操る必要があります。なので、この茶番の後に何かあるに違いありません。ハードルを上げてみました。
ドワーフの角は、取り返した一本はおろかもう一本もグツコーの手中にわたってしまいました。そして、グツコーからはこの角が持つ本当の力について解説がありました。このアイテムの真相の解説役が不自然にも敵のグツコーになってしまったのは、ひとえにドワーフがチャラチャラしすぎていたためです。
グツコー「何も知らないバカどもめ!この角は氷の角!炎を避けクリスタルへの道を開く!」
ここでいうバカは主にチャラチャラ族のことを指します。おそらくそんな大事な意味も知らずに先祖代々大事に受け継いできたのでしょう。さぞかしグツコーの目には、間抜けに映ったことでしょうね。火のクリスタルといえば森羅万象を司る強大なパワーの一角です。その力に近づく手段が、こんなラリラリ族の手元に置かれていたのですから。さりとて、ドワーフ族に伝わるおまじないの力は地味に強大で、一度、盗難の危機に晒されたらもう鉄壁でした。ドワーフ族の先祖はさぞかししっかりと火のクリスタルを守っていたんでしょうね。しかし、ルーネスのうっかりミスでグツコーの尾行を許してしまったため、おまじないの防御は破られたのでした・・・これってやっぱりルーネスの責任問題?
トロイの木馬っていうギリシア神話がありまして、戦争で勝った戦利品の巨大な木馬を自陣に持ち帰ったら、中から敵の兵士が出てきて負けちゃったって話なんですが、それとちょっと似ていますね。やっぱりこの場合も、責任は木馬を持ち帰った勝利軍にあるのでしょうか?戦利品をしっかり検査しなかった落ち度も認められませんかね。
そんな言い訳は認められるべくもなく、再び姿を消したグツコーをみて、チャラいドワーフたちは一斉にルーネスたちをdisり始めました。
A「きっとあいつ北の山に行ったから取り返してホー!」
B「ツメが甘くてダメダメホー!」
C「お前らにはガッカリホー!」
なんだよ、語尾にホーをつければいいと思って。さっきまでの凱旋ムードから一転して、卵でも投げつけられそうな雰囲気になりました。ルーネス涙目。なんだよ、北の山なら泳げないお前らだって行けそうじゃん。でも、ドワーフは完全に責任を転嫁してきてますので、ルーネスたちが再び取り戻すのが当然っていう空気をニラニラと出してきます。こういう態度を急変させられる人とは、あんまり友達になりたくないなぁ、なんて思いながら4人はドワーフの洞窟をあとにし、北の山の洞窟に向かいました。