ドワーフの洞窟は、グツコーという輩の来襲によって騒然としています。ドワーフは体脂肪率が低すぎるガチムキなせいか泳げないので、地底湖に逃げ隠れたグツコーを追い詰められないので、ニンゲンのルーネスたちがその始末をお願いされたという次第です。一般的な感覚では見も知らぬ旅人にするようなお願いではないのですが、どうあっても潜水はドワーフには不可能な作業なので、藁にもすがる気持ちでのご指名でしょう。盗まれたドワーフの角(つの)というお宝自体は、光の戦士としての活動の本筋とは関連がなさそうですが、人(ドワーフ)助けもまた戦士に課せられた使命なのかもしれません。それはそれとして、ドワーフとの会話から得られた知識を少しだけまとめておきましょう。
ドワーフの洞窟に入る前に、島にもう一つの洞窟があることを確認していましたが、こちらの北の山の洞窟の場所には、地震以前はきれいなガラスのような塔があったのだそうです。例によって地震によってこの塔が消滅してしまったわけですね。この塔の跡地にこそデッシュの言っていた火の力が眠っている可能性があるので、グツコー騒動の収束した折にでも向かってみようと思います。
もうひとつ、この浮遊大陸の外海を東にずっと進むと「ギサール」という辺鄙な村があるそうです。いや、ドワーフのこの集落も相当辺鄙なところだと思いますが、気を悪くするといけないので、ドワーフには言わないでおきました。ギサールに向かう目的は今のところありませんが、話のタネに後で向かってみることにしましょう。
それでは準備も整ったので、一行は洞窟を下に降りて、「地底湖」と呼ばれる場所に向かいました。おそらく岩盤地質に水が溜まっているのでしょうね。グツコーが潜って逃げたというからには、水溜りの先には空気のある別の空洞があるということでしょう。念のため、湖に溺死したグツコーの遺体がないかだけは確認しておきましょう。
ルーネス「よーしもぐるか」
レフィア「また蛙になるの?(ガーン)」
どうもレフィアはあの紫の蛙の姿に慣れない模様。まぁ、あのきわどい紫がぬめぬめした蛙の体表の色に使われると、とてつもなく毒々しいイメージを与えるので、気持ちはわからないでもありません。
ルーネス「じゃあ、お前だけ水着な。」
渋々、トードの呪文によって全員が蛙に変身します。といっても地底湖を抜けたらすぐに変身を解くので、なんていうかアルクゥの魔法使用回数が2回減るだけのイベントでした。ん?ひょっとして、これまで冒険してきた城や洞窟にも同様に蛙になって潜れる場所があったのかもなぁ・・・今さら、冒険の旧跡巡りとか嫌ですが、伝説の武器・防具とか眠ってるのに気がつかないのも嫌ですね。最近のRPGはシナリオにそって一直線でつまらないっていう批判を聞くことがありますが、時間の少ない現代人にとっては、後戻りしたり、マップをいろんな順番で攻略したり、多様な遊び方を提供するのは害悪なのかもしれません。「やり込み要素」っていうのはすごい贅沢な時間の使い方ができる人のためにあるものですよね。ライトユーザとヘビーユーザの住み分けやバランスを探る作業とか、今と昔では考え方に差がでてきそうです。
地底湖を抜けた先にはやはり細い洞窟が続いていて、「マンティコラ」とかいう敵によく出くわしました。羽根のはえたライオン的なやつで、やたら石化攻撃をしかけてきます。ここから「金の針」の在庫をつねに心配するという冒険の開始です。マンティコラはペルシア語の「人を食らう生き物」が語源らしくアジアに生息するベンガルトラの異名だったこともあるようです。(Wikipedia先生より)現代日本には人間を襲うような生物が都市を闊歩するようなケースが少ないので、なかなかこんな感じのモンスターになるネタがありませんね。今やモンスターといえば、クレームの激しい人間のことを指す言葉になりつつあります。ずっと未来には、今の社会を題材にしたRPGが販売されていて、いかにモンスターのクレームを処理するか、いかにオレオレ詐欺などから身を守るかというのがゲームの主題になるかもしれません。そんなのとてもつまらなそうだけど、未来の人には面白いかもしれませんよ。「うわっ、ちょっ、振りこんだら詰んだw」「このモンスター、要求高すぎやろっ!」みたいに楽しむ子供の姿を想像すると、何だか切なくなりますね。古代の人もゲームで遊んでいる現代人に同様の思いを抱くかもしれません。
マンティコラ自身が金の針をちょいちょいドロップしてくれるので、石化も大事にいたらずにグツコーの元に辿りつくことができました。この男、半裸につき!色白の肌に褌(フンドシ)一丁、痩身の腰に蛇を巻き、背中には翼があります。髪は白く長く、とにかくつっこみどころが盛りだくさんです。やつが右手に持っているのがおそらく盗まれたドワーフの角の片方でしょう。
グツコー「よるなよるな、お前らにこの角は渡さん!」
追い詰められたこの盗賊は、喧嘩腰でルーネスたちと戦闘モードに入りました。ん?フィールド上のグツコーはひょろひょろと弱そうでしたが、戦闘画面では・・・なんか軽くマッチョです。これだからのDS版FF3は侮れません。先のメデューサ線でも、戦闘が始まるや否やメデューサの首から下がなくなりましたしね。戦闘シーンになると、敵の表現がリアリスティックになるということにいい加減に慣れないといけません。逆にフィールド上で弱そうでも油断するなということですね。ルーネスたちは戦闘時もいつもの頭身なのでギャップがありますが、描画可能なポリゴン数の問題なんでしょうかね。別にこの低ポリゴンな主人公たちもかわいいので嫌いじゃありませんが。DS版ではなくなってしまいましたが、ファミコン~スーパーファミコン時代の横視点戦闘画面に使われていた横向きデフォルメ主人公のグラフィックもかわいかったですよね。今のフルハイビジョンの画面であのドット絵主人公をそのまま描画したら豆粒のように小さくなっちゃうのかな。
ちなみにこのグツコーさん職業が盗賊だそうです。気がつくと敵モンスターからドロップアイテムをもぎ取ってくれたりするアレですね。FFのジョブ的には「シーフ」です。シーフっていうと横文字なせいか何か洗練されたイメージがありますが、どちらにしても人様の所有権を侵す存在です。FFの世界では普通に海賊とか盗賊とか一見犯罪者チックなやつが表の世界にも存在しますが、これは近代の法治国家では理解しがたい事象です。この時代、そもそも所有権の概念が今とは違っていましたし、日本と違っていろんな民族がいたヨーロッパでは、民族毎の考え方の違いというのもありました。ジプシーなんかはその最たる存在ですね。盗んでいるのではなく、共有物を使用しているという考え方を他民族にも適用しようとして摩擦が多かったと聞いています。戦争もたくさんやってましたし、奪ったり奪われたりというのが今よりももっと身近な世界だったのかもしれません。ロビン・フッドのように悪政に対する反対勢力が身を寄せ合っていたアウトロー集団もあったことでしょう。
とりあえず、グツコーは見かけ倒し・・・むしろひょろひょろグラフィックの方がしっくりくるような取るに足らない相手でして、あっさり勝利を決めることができました。
アルクゥ「あらら、消えちゃった(肩をすくめる)」
戦闘後、彼の遺骸は煙のように消えてしまし、ドワーフの角だけが残されました。これをドワーフの祭壇に返却すればミッションコンプリートです。しかし、地底湖の洞くつの帰り道、不思議な影がルーネスたちの後をついてくるのでした。・・・何という先の予測できる展開っ!