「おばけなんてないさ」を歌いながら村を飛び出していったアルクゥをおいかけて、一路カズスの町に向かうルーネスです。助けようとしたルーネスの手を突っぱねていったあの弱虫は、どうしていることでしょう。カズスの町が呪いによってゴーストタウンとなっているとの話でしたが、実際問題ユーレイなんてものがFFでも出てくるのでしょうか。ある意味、FF2の「Soul of Re-Birth」でユーレイが実在することをまざまざと見せつけられた私としては、FF3でもアラボト的な場所からミンウ的な人がアルテマ的な呪文で援護射撃をしてくれても一向に構いません。
そんなことより、魔法の着脱システムについて結構クヨクヨ悩んでいる自分がいます。基本的にドラクエでは覚えた魔法は忘れないというのがお決まりだったものですから、装備品と違って魔法はキャラクターと密接な関係を持っているのです。クリフト=ザラキ、ミネア=メガザル、ブライ=マヒャドみたいな。サマルトリア=メガンテ=爆弾岩みたいな。代名詞として通用するくらいキャラクターの個性が魔法によって印象付けられているのです。でも、FF3だと多分ジョブチェンジとともに魔法はキャラクターから引きはがされ、別の誰かにハンターチャンスです。ドラクエ3の何がよかったかって、「ベギラゴンを唱えるけど戦士」みたいな異様なキャラクターも造形できたことじゃないですか。雷神の剣を持ってるくせにベギラゴンを唱えちゃう、ちょっと知的な戦士様とかいいじゃないですか。あのゴツイ腕で「ベホマ」されてみたいじゃないですか。そんなギャップもFF3では無理なのかもしれません。あなたの近所の子が、白魔道士の癒し系だったのに、ある日突然、「魔法無理だから」とかなんとかグレて鉄ヌンチャクを振り回すことになったら嫌でしょう。
でも、もしかして、ジョブごとに「じゅくれんど」っていう項目がありそうだったから、過去のジョブの熟練度によっては魔法を使えたり、使えなかったり。ダメですか。僧侶という前職あってこその閃華裂光拳なんですけどね。
まだ、すっぴんのクセにそんな先のジョブチェンジのことで今から盛り上がってすいません。ルーネスはウルの村を出て南下すること少々、拍子抜けするほど近所にカズスの町と思しき建物が見えてきました。
これだけの近さなら、弱虫・アルクゥであっても無事にたどり着けていることでしょう、と思った矢先、町に人影が見えます。あの後ろ姿はどうみてもアルクゥその人です。ユーレイの不在を証明しに、そして自分が弱虫でないことを確認するためにきたわりに、町の入り口から一向に動く気配がありません。近づけないほど町はやばい状況なんでしょうか。それとも、一歩でも入ると呪いにかかってしまうとか?やっぱり単純に怖いだけ?「おばけなんてないさ」のサビは「だけどちょっと僕だって怖いな」ですからね。ユーレイを信じないと公言しているのは、博学ゆえでもなんでもなく、実在したら嫌だからなんでしょう。
チョンと背中を触って声をかけると、アルクゥは恐怖のあまり地面にへたれこんでしまいました。アルクゥにしてみれば、ホラー映画によくある感じの「何だ、君かぁ、驚かすなよ」みたいな場面です。ルーネスは一向に気にする様子はありません。そんなルーネスの背後から、さらにっ!!!
みたいなのがホラー映画ではあったりするんですけどね。安心させた直後は、観客も隙だらけですもんね。でも、ルーネスの背後には特に霊はいないようです。霊視してくれても構いません。
さて、ルーネスの姿に安心したのか、アルクゥが話しだしました。
アルクゥ:僕もここまで一人でこれただけでも、十分満足だよ。ルーネス、僕を連れてってよ。
確か、ついさっき「ルーネスになんか頼るもんか」と息巻いていたはずなんですが、前言はあっさりと撤回された模様。ウルからカズスまでの短い道中、一体、こいつに何があったのでしょう?ゴブリンとかキラービーとかウェアウルフぐらい出没する地域ですが、あの距離ならせいぜい戦闘はあっても一回程度でしょう。ルーネスでウェアウルフ2体ぐらいまでなら、ポーションなしでもなんとかいなせるという感じですが、このアルクゥを見る限り、ゴブリン一体でパニック状態になりそうです。どうにかこうにか、カズスにはついたものの町の中にまで入る勇気はなく、ルーネスの姿を見るなり、「連れて行ってくれ」とちょっと上からの物言い。このとき、私の脳の神経回路が、二つのキャラクターを結びつけました。アルクゥは誰かに似ている・・・自分の居城の地下に一人で進んでいけなかった臆病者、カシュオーン王子・ゴードン。アルクゥに対するイラッと感の正体が明らかになった一瞬でした。何もしていないのに、手柄だけは掠める男と重なったのだから仕方ありません。(ゴードンに対する私の偏向はFF2の項を読んでもらえるとわかります。)
正直、アルクゥはその登場時から株を落としっぱなしでいまいち好きになれていません。弱いけど自己中。このタイプが私の苦手なキャラクターなのかもしれません。弱さゆえに他人に対して気遣う余裕がないともいえるのですが、少なくとも博学ぶりでは周りに一目置かれているのですから、そこにひかれてやってくる人に対する思いやりは持っていて欲しいのです。
一つ、ルーネスが元から性格的に強い人間であるのに対して、アルクゥは弱い人間としてストーリーが書かれるのであれば、結末までにはアルクゥの成長劇を展開してほしいものです。まぁ、わかりやすい例でいえばダイの大冒険のポップぐらい、みじめなところから這い上がってきてほしいです。そして、メドローアとか放ったら素敵過ぎます。アルクゥのことを愛せる日がくるかどうか、これはかなり重要なポイントです。
というわけで、最初の仲間をゲットしました。ドラクエみたいに「仲間が増えた時」には華やかな音楽が流れるのでしょうか。まぁ、仲間にしては頼りないですが、会話できるパーティーができるというのは、楽しいものです。人間一人ぼっちでいられるのなんてせいぜい一週間ぐらいじゃないでしょうか。戦力的にお荷物っぽい気がしますが、コミュニケーションがとれる喜びで補いましょう。
あと、ムカつくことに、アルクゥの初期ステータスでHPがルーネスより1大きかったです。苦労してレベル3になったルーネスよりも・・・やっぱり、まだ愛せないです。