国産RPGの二大巨頭「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」。ドラクエ派の自分にFFがプレイできるのであろうか?

できるかなファイナルファンタジー

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レオンハルト列伝

上空からパラメキア潜入マリアをアルテミストに、リチャードを一児の父候補にジョブチェンジしたフリオニールたち一行は再び飛空艇に乗り込んで空からパラメキア城潜入を試みます。なんかガイについてはこれといった変化がないのが寂しいところです。ストーリー的に誰と絡むでもなく、なんとなく幼馴染というだけでついて来てもらっているガイですが、彼にとってのこのFF2という物語はなんなのでしょう?下手をするとジャイアントビーバーと会話したあたりがこの男のピークだったのかもしれません。存在感が薄まってきている昨今、彼の活躍に期待したいです。
ところで、飛空艇でどうやってパラメキア城に乗り込むのか最初はわかりませんでしたよ。そのまま突入してもマップが切り替わる気配がなく、かといって着地しようとしても駐車禁止で追い払われるし。数分あれこれ試して諦めて帰ろうとさえ思いましたが、何のことはなく、着地ポイントの範囲が狭いというだけでした。お城の一番高い塔あたりに降りればよさそうです。(多分)

将軍様パラメキア城の中では、さすがに「ジェネラル」といった将軍職が控えておりました。ワンピースでいったら「赤イヌ」「青キジ」「黄ザル」ぐらいの役職じゃないでしょうか。いや~、そう考えるとおそろしいですね。そんな強敵どもをフリオニールはなぎ倒しているわけですから、その成長振りは目を見張るものです。

にっくき宿敵・黒騎士それどころではありません。この城にはにっくき仇敵「くろきし」までもがいやがったのです。思い起こせばフィンがパラメキアの手に落ちたあの日、レオンハルトを含めた幼馴染4人組は黒騎士の執拗な追跡を振り切ることができず、4人組の騎士団に反撃もできずに殺されかけたのです。数奇なものでその中の一人が今はパラメキアの皇帝に即位して黒騎士を自由に操っているというのです。ここはもう、黒騎士を倒しながら「目を覚ませ、レオンハルトゥ!」と叫ばずにはおられません。できることならレオンハルトの横で黒騎士を叩き潰してやりたかったってなもんです。レオンハルトが本来いるべき位置には、国に帰りを待っている女と子供をもつリチャードのおっさんがおさまっていて、年齢的にちょっぴりチグハグです。かつてまだヒヨッコだったフリオニールが今の状況を見たらどう思うでしょうか。まさかレオンハルトが黒騎士の背後に立ちはだかるなんて。
ところで、黒騎士って一番最初に会ったときのインパクトが強すぎて本当に勝てるのか心配です。かすり傷一つ負わすこともできないまま無残に散りましたからね。ミンウさんに拾ってもらわなければ、本当に死んでいたに違いないですよ。そんなトラウマを背負って今まで戦ってきましたが、今ここで黒騎士を倒すことができれば、過去のしがらみからも解放されそうな気もします。
で、ちょっと強かったですけど、普通に倒せました。ある意味、パラメキア皇帝以上の宿敵といってもいい黒騎士をついに討ち取りました。「青キジ」を倒せた実力は紛れもない本物でした。

皇帝の呪いが具現化黒騎士との因縁を断ち切った後も、この城では面白い敵が出てきました。宝箱を開けると「こうていののろい」というパラメキア皇帝の色違いがでてきましたよ。バラモスブロスみたいなもんでしょうか。さすが魔術に長けた者は違いますね。宝箱のトラップに自分の思念体みたいな「呪い」をセッティングしちゃうんですから。多分、彼の家の冷蔵庫を不用意に開けて、皇帝の残しておいた未開封のプリンを食べようとすると、たちまち「こうていののろい」が登場して呪い殺されます。あと、皇帝の未使用の消しゴムを勝手に持ち出して、角を使って字を消そうとしてもモクモクと呪いが出てきます、きっと。

レオンハルト、わりと正気前皇帝に呪われたりしながらも何とか、新皇帝のいる部屋までやってくることができました。ソファでは悠然としながらレオンハルトがくつろいでいます。ダークナイトのときとはどうも装束が違うようですが、中身はやはりレオンハルトです。特に記憶が失われているような形跡は見受けられず、しっかりと「フリオニール」の名前が呼ばれました。ということは、故郷を滅ぼされ、黒騎士に半殺しにされた後、彼は自分の意思でパラメキアに寝返り、武功を重ねてダークナイトとして出世を果たし、ついにはパラメキアの玉座に座っているということになります。もちろん、フリオニールやマリアの脳裏には「なぜ?」という当然の疑問が生じます。今までシナリオで特に語られることはありませんでしたが、レオンハルトの人柄については、実の妹マリアや家族のように育ったフリオニールは十分わかっているはずです。はたしてレオンハルトはこんなことをしでかすような子だったのでしょうか?

愛憎ふくむ三角関係レオンハルトが挑発してくるので、フリオニールも少々喧嘩腰です。先ほど黒騎士に積年の恨みを返してやったばかりですが、レオンハルトがこの調子では、何のためにいままで反乱軍と共に行動してきたのか、その意義があやふやになってしまいます。戦争の被害者「フリオニール」を通じて「黒騎士」に象徴される迫害者・パラメキアを倒すところにFF2のカタルシスを感じてきたユーザに対して、レオンハルトが最後の最後で新しい視点を投入してきたものですから、こちらとしては大どんでん返しです。行き場のない怒りをレオンハルトにぶつけたくもなります。そこにマリアが「やめて、二人とも!」と仲裁に入ります。まるで「私のために喧嘩しないで」という三角関係のヒロインの気分に酔いしれながら。もう何やってるんだか、この幼馴染たちは。ガイとリチャードはこの三人の世界に入ってこれずに静観の構えです。

ラオウ論者マリアの仲裁の後、レオンハルトが自分の真意を語りだしてくれました。要約すると「ラオウ様がカッコよかったから、自分もそうなりたかった」というところでしょうか。この世は「力」で支えられているのであり、力の弱いものは力の強いものに寄りかかって生きていくしかないのだという主張でした。彼の言うとおりパラメキアは圧倒的な武力でカシュオーンやディスト、フィンといった国々を制圧して成長してきました。武力や魔力や技術力を根拠に彼らの暴挙は正当化され、弱いことを罪とでも言わんばかりにパラメキアは今や地上で一番の繁栄をみせています。
かつて「黒騎士」に力で蹂躙されたレオンハルトは、そのに反感を覚えるどころかどうやら憧れを抱いてしまったのでした。名前まで「ダークナイト」(→暗い騎士→黒騎士)に変えて、パラメキアでメキメキと力をつけ、皇帝の座まで手にしたのですから彼の言うことも一理あるのでしょう。圧倒的な腕力には確かに人を魅了する何かがあると思います。格闘技やスポーツを観ていると純粋に「強さ」に心ひかれる瞬間が確かにあります。
しかし、その論理の先に何があるのでしょう。フリオニールはレオンハルトのいうところの「弱者」の側にいましたから、この理屈の先にある破綻が手に取るようにわかります。大戦艦の爆撃で、あるいはパラメキア軍の攻撃で、あるいは竜巻の魔力で人が何人死んだでしょうか。力によるパラメキア政権には破壊しかなく、一切の生産性が伴っていません。腕力が人を測るというのであれば、レオンハルトの妹のマリアの価値が一体どれほどのものだというのでしょうか。
レオンハルトはフリオニールに「お前にオレが殺せるのか?」と問い、それができないフリオニールの弱さを説きましたが、逆に「お前にマリアが殺せるのか?」と問いたいです。それができるレオンハルトの力に未来なんてないのです。

何か光ったレオンハルトに何とかしてわからせてやらねばなりません。ただ、力でそれをわからせるというわけにはいきません。拳で殴り勝っても、レオンハルトは一掃「力こそ全て」という自説に確信を持ってしまうだけですから。
と、そんな折に突然レオンハルトの座っていたフカフカのソファが光り輝きだしました。これにはレオンハルトも驚いた様子です。フリオニールとレオンハルトの対峙は、ここで一時中断されてしまいます。

もうダークナイトではないのか光の正体はなんと「皇帝」でした。外見からはわかりませんが「皇帝」と書いてあるからには、以前に倒した前パラメキア皇帝のことなんでしょう。変な仮面を被っての再登場ですが、こっちにはもっと変な仮面の男・リチャードがいますから負けていません。どうも口ぶりからは、勝手に新皇帝の座に即位したレオンハルトを叱責しているような感じです。かつてはダークナイトと呼んでいたところを「レオンハルト」と呼んでいますが、皇帝とレオンハルトの関係はどの程度のものだったのでしょうか。パラメキアきってのやり手だったと思われるレオンハルトですから、パラメキア皇帝も自分の手元において便利に使っていたのでしょう。レオンハルトの素性についてもそこそこ把握していたのかもしれません。
レオンハルトにしてみれば、パラメキア皇帝は「権威」の象徴であり、「力」を持つ者の最終目標地点だった人でしょう。ただ、フリオニールに「負けた」時点で皇帝は、レオンハルト理論でいうところの「弱者」ですから、失望の対象になってしまったものと思われます。

皇帝への忠義はなかったらしいこのギャップがレオンハルトの中でもイマイチ消化しきれていないのかわかりませんが、これまで付き従ってきた皇帝に対して随分とぞんざいな物言いをしています。「生きていたのか!?化け物め!」
パラメキア元皇帝への侮蔑的発言は、フリオニールにとっては救いとなります。やはりレオンハルトは「親皇帝派」というわけではなかったのです。パラメキアなんて親の敵に嬉々として従っているようであれば、レオンハルトといえども引導を渡さざるをえません。しかし、レオンハルトは絶対的な力にこそ惹かれるのであって、一度負けた皇帝なんかにはすぐに背中を向けてしまうのです。(外形的にはパラメキアの人なんで、説明が難しいところですが)

地獄に落ちていたそうですどうもパラメキア皇帝は、フリオニールに殺された後、「地獄」に落ちていたそうです。この世界の宗教観はまだはっきりしたわけではありませんが、「天国と地獄」という死後の世界が実在する感じなのでしょう。で、元々魔力の強かった皇帝は地獄でさらなるパワーアップを遂げて帰ってきたという展開です。青白い炎を巻き上げて徐々にフリオニールたちへの狙いをすましていきます。
地獄が、「悪いやつが罰せられる場所」という考えではこの展開はありえませんので、「悪いやつがいっぱいいる場所」というのが解釈として正しそうです。悪+悪=巨悪という計算式によってパラメキア皇帝はさらに強くなってしまいました。そして、巨悪を目の前にしたレオンハルトとフリオニールの二人は、王道通りに団結してしまうのでしょうか。
悟空・ベジータ・フリーザの図式が今、晴れて出来上がりました。