はてさて、どうしたもんでしょうか。レオンハルトの影を掴みかけたと思ったら、突然、大戦艦の発進準備が整って、全てが急展開してしまったフリオニール一行です。やっとの思いでたどり着いた大戦艦の建造現場では、その雄々しい姿の大戦艦がまさに飛び立つところでした。大戦艦の上にはたくさんのプロペラが取り付けられており、どうやらヘリコプターと同じ原理で飛ぶようです。ライト兄弟が飛行機で初飛行に成功してから、数十年後にヘリコプターが完成することを考えると、FF2の世界の科学技術もなかなか進んでいるようであります。一方で剣と魔法が、もう一方で機械文明が活躍する不思議な世界観であります。鳥を見て、飛行機を思いつくというのはすごく自然な流れのような気もしますが、ヘリコプターの元ネタってなんでしょうね。何気にレオナルド・ダ・ヴィンチがあの時代にヘリコプターの構想図を描いていたらしいですが、その発想にいたった過程がピンとこないんですよね。回転して揚力を得るって自然現象であるんでしょうか。竹とんぼとかブーメランの延長線上にある発明というとこまでは分かるんですけどね・・・。
もうそんな話でお茶を濁すしかないですね。だって、もう最終兵器は飛び去ってしまったんですもの。試運転がてらちょっとドライブして戻ってきてくれればいいのですが、ひょっとしたら、速攻でアルテアを攻略しているかもしれません。帰る場所があるのかどうかする不安定なフリオニールたち。ヒルダ王女、どうかご無事で!と祈るしかありません。途方にくれながら、地下通路からバフスクに戻りますが、途中レオンハルトとおぼしきダークナイトと出会ったあたりで、変な方向からボーゲン伯爵が走ってやってきたのを思い出し、そちらの方向に進んでみます。すると大戦艦への「つうこうしょう」が無防備にも置きっ放しになっていました。レオンハルトの粋なはからいだったらいいのですが、きっとボーゲンのドジでしょう。あいつ自身は大戦艦にしっかり乗り込んだ様子ですから、誰か一人乗り遅れたヤツがいるのかもしれません。今さら通行証を手に入れたところで、大戦艦が戻ってきてくれるわけもなく、反乱軍駆逐作戦は開始されているのかもしれませんが、一応この通行証は懐にしまっておきましょう。
ミッションに失敗した4人は、ヒルダ王女に会わせる顔がないので、公園のブランコで夕暮れまで時間を潰して、センチメンタルな気分に浸りたいところではありますが、失敗は失敗でしっかり報告しないとなりません。上司への報告・連絡・相談は企業での必須業務です。そんな「ほうれんそう」の原則に基づき、大ボスであるヒルダ王女の元にいそぎます。途中、体力の回復をはかるべく、ポフトの町によってみることにしました。そしたら、なんか、偉いことになってます。いかに軽薄な性格のフリオニールでもいくらか心を痛めてしまうような大惨事がポフトを襲っていました。なんと町民のほとんどが全滅です。まさに絨毯爆撃ともいうべき攻撃が大戦艦から降り注がれたポフトの町は見るも無残な焼け野原です。建物は損壊し、人はみな死にました。おいおい、これちょっとリアルすぎて辛いな。ムーンブルク城だってサマルトリア城だって、もうちょっとオブラートに包まれた全滅ぶりだったと思います。この救いのない決定的なダメージによって、やっと今、自分が戦時下にいるんだなと自覚されました。フリオニールたちはひょっとしたら、自分の思惑以上に緊迫した中で生きているのかもしれません。マリアの顔が沈んで根暗な感じなのも、ガイが表情に乏しいのも、フリオニールの唇の色が紫なのも全て戦争の為せる業だったのでした。少し腰がひけてきましたよ。
そんな中、酒場のシドだけはいつもと変わらぬ様子で偉そうにふんぞり返ってました。酒場の中の人もどうやらみんな死んでしまったみたいですが、なぜかシドとその部下はご無事な様子。飛空艇で自分の組織だけはしっかり守ったという感じでしょうか。元白騎士団という経歴を持つこの人が味方だったら、どれほど頼もしいことでしょう。ただ、死んでしまったポフトの人たちの命も、この人ならいくらか救えたのではないか、という柄にもない社会正義の気持ちも湧いてきます。おそらくお金を払えば飛空艇でいくらでも助けてくれたのでしょう。でも、飛空艇の代金はべらぼうに高いので、救われたとしても一部の富裕層から優先的にという形だったに違いありません。もちろん、飛空艇自体はシドが多くを代償に生み出した発明ですから、シドがどのように使用してもフリオニールに咎める権利はありません。あぁ、自分にもっと力があれば・・・。そんな敗北感が漂ってまいりました。
さらにおいうちをかけるように、平和だったパルムの港町も爆撃の被害でその機能を失っていました。ヘラヘラと軽口を叩いていた酔っ払いの海賊崩れも「痛ぇ・・・俺はもう駄目だ・・・」なんて弱気になっていて、町のムードは沈む一方です。「娘が死んだぁ。」と嘆き苦しむ親父の姿とか、マジでヘコむんですけど。責任感が強いというわけではありませんが、フリオニールがもうちょっと早くミッションをこなしていれば、この親父は憎まれ口を叩かれながらも娘と仲良く過ごせたのかもしれません。なんだよ、この現実。ファンタジーの微塵も感じさせず、淡々と突きつけられる戦争の悲壮ぶり。うーん、ファイナルファンタジー(最終幻想)。
ここでフリオニールの頭にお花がよぎります。フラワーパワーです。反戦思想ってやつです。反乱軍を手段に成り上がることを目標としてきたフリオニールは、少し考えをあらため、成り上がった上で世界平和を実現することこそ自分の目標にしようと誓うのでした。こんな洒落にならない世界は辛すぎます。少しだけ成長したフリオニールは理想に燃え上がるのです。