国産RPGの二大巨頭「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」。ドラクエ派の自分にFFがプレイできるのであろうか?

できるかなファイナルファンタジー

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生き残った古代人

世間はゴールデンウィークに突入しましたね。私の仕事は「ゴールデンウィークなにそれ?」な系に属しているので、いつもと変わらない生活です。つつがなく、つつがなく。

さて、前回機械仕掛けのオーエンの塔にたどりついたルーネスたちですが、蛙に変身したり、不気味な声が轟いたり、しょっぱなからいろんな事態が発生しています。オーエン、オーエンって言っているとちょっと「応援」を連想させて、壁沿いの歯車の隙間から「がんばれー」「まけるなー」とか声が聞こえてきそうですが、多分、英字で表すと「owen(オーウェン)」だと思われます。人の名前だとロバート・オーウェンが中学の歴史教科書に出てきたような記憶があります。オーウェンとオーエンの表記の揺れは、ディスコとデスコや、シーディーとシーデーみたいな日本人の発音に合わせた違いなんでしょうか。Wikipediaのロバート・オーウェンの項では、項目名が「ロバート・オウエン」ってなってましたし、まさしく「がんばれー」とか言ってくれてそうな人物像を思い浮かべてしまいそうです。産業革命の真っ最中の社会学者と同じ名前の塔が機械仕掛けだなんて、なかなかいいセンスな気がします。そのうちマックス・ウェーバーとか出てくるんでしょうか。いやその場合はマックス・エーバーって表記かも。ひょっとしたら、当時のフォント的に「ェ」(カタカナの小さいエ)を用意する容量がROM内に確保できなかったのかもしれません。

機械仕掛けの塔とデッシュ

そんな塔内では、不気味な声に呼応するかのように、デッシュがちょっと挙動不審です。どうやら失われた記憶がここにきてものすごくウズウズし始めたらしく、ついには「ここは見覚えがある」とか言い出しました。グルガン族に「運命の男」と称され、光の戦士よりもなんだか主人公スポットがあたっているデッシュさん。そしてそれを煽るかのようにまたあの不気味が声がします。

「ヒッヒッヒッ」

期待した割に、情報量の少ないコメントでした。この情報から推測されるのは声の主が「卑怯」属性を持っていそうなことぐらいです。結構笑い声によるキャラクターの特徴づけというのは、国内のエンターテイメントでは盛んに行われていますよね。これが「ヒヒヒッ」だったらもうちょっと「やんちゃでいたずらっぽい」属性がつきます。「ガーッハッハ」だったら「豪快」属性です。女性の場合「ウフフ」と「フフ」の使い分けなど、かなり繊細な作業となります。「ニシシ」「ヒャッハー」「ニター」「にやり」「ムヒッ」「エヘッ」「アハハ」などいろいろテンプレートがありますので、みなさんもご自分のキャラクターにあった笑い方を考えるといいと思います。

ルーネス:だーっはっは
アルクゥ:クスクス
レフィア:なにそれー
イングズ:ん?(笑いのツボがわからないつまらない男)

私の脳内で4人はこんな感じで笑います。むしろアルクゥは「ksks」とかの方がしっくりくるかもしれません。

しかし、そんな不気味で卑屈な笑い声(アルクゥのではなく)を受けて、デッシュが一つ大事なことを思い出しました。

「そうだ古代人・・・俺は古代人だ!」

真剣に思いだしたことを告白するデッシュに、「だーっはっは」「ksks」「なにそれー」「ん?」などのリアクションが返されます。背中を曲げて猿っぽい顔真似をするルーネスと「それは原始人だよ~」と的確につっこみを入れるアルクゥ。デッシュは真剣そうなのでみなさん茶化さないであげてください。さて、確かにこの浮遊大陸の外周に「古代人の末裔」の住む集落はありましたが、デッシュは自らをその先祖である「古代人」と言い放ったのですから、ちょっとおかしな話です。じゃ、お前いくつなんだよ?って話になります。心臓の運動を遅らせて243年経っても、243日分しか年を取らない廬山大瀑布の管理人さんみたいな設定だというのでしょうか?

そもそも、古代ってなんだよ?ってところから整理してみましょう。ファイナルファンタジーシリーズの歴史観をこちらの世界に当てはめるとすると、中世末期~産業革命初期っぽい変革期あたりが近いでしょうか?剣と魔法の世界に機械文明が入りこみ始めるみたいな。基本的に王様が国を統治していますが、そのうち産業が興隆すると市民階級が権力を高め始めて、近代的な市民政治が始まるのかもしれませんが、まだ、王様が一番軍事力を持っていて、農民に租税を納めさせる世界っぽいです。古代っていうのは身分階級がもうちょっと雑然としていて、戦争まっ盛りで、奴隷とかを使っていた時代ですね。お風呂漫画・テルマエ・ロマエに出てくるあたりの時代が古代ローマが安定していた頃でしょうか。しかし、ファイナルファンタジーの世界の古代はちょっと違っていて、文明がルーネスの時代よりもずっと発達していたんですね。飛空艇とかも古代の技術の名残の品だとか。こういう世界観はアメリカとソビエトが冷戦をやっていた頃によくみられたもので、第三次世界大戦での核兵器の使用によって人類が一度滅びかけて、その後の話・・・みたいな設定はたくさんありました。胸に北斗七星の傷を持つ人のやつとかもそうですね。FF3は1990年発表らしいので、その辺の影響をひきずっている可能性はありそうです。となると、このお話は過去ではなくて未来の話という捉え方もできますね。今、自分たちが生きている時代が「古代」と呼ばれる日がくると思うと、原始人のマネをしたルーネスに苛立ちを覚えますね。

デッシュが深刻そうな顔をしているので、レフィア(デッシュが気になるお年頃)がフォローを入れます。「それって末裔ってことかな?」しかし、デッシュは首を横に振り、古代人の末裔であることは否定。「違う、俺は・・・もう少しで思い出せそう・・・」何かきっかけがないとこれ以上は思い出せないようですね。

オーエンの塔の内部は徐々に複雑に交差をはじめ、デッシュの記憶のようにこんがらがってきました。「永久にさまよい続けるがいい・・・」と不気味な声も言っています。ある程度まで進んでこれましたが、どうやら行く先が遮られてしまった模様。先行き不透明な塔にあって、唯一頼れるのはデッシュのこの塔に関するメモリーです。デッシュに向かって「がんばれー」「がんばれー」とみんなで記憶回復を応援します。(どうでもいいですが、デーブ・スペクターさんのtwitterアカウントがなかなか楽しいですね。)

デッシュ「確か通路を開くスイッチが・・・」

塔の炉

デッシュの断片的な記憶のおかげで、ルーネスたちはいよいよ不気味な声の主の所までたどりついたのでした。