国産RPGの二大巨頭「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」。ドラクエ派の自分にFFがプレイできるのであろうか?

できるかなファイナルファンタジー

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イングズの幼馴染

泣き虫姫先日、逆転検事が我が家に届きまして、毎日寝る前に少しずつ話を進めています。キャラクターとシナリオと演出の三位一体感が見事な逆転シリーズをやっていると、アドベンチャーゲームはひょっとしたら、RPG以上に自分と相性がいいのかもしれないなと思うこの頃です。(両者の境界もあやふやなところがありますが。)私がプレイしたアドベンチャーゲームは、多分「ポートピア連続殺人事件」のファミコン版だったと思います。「ここだよ、ここ」のあのゲームです。ドラゴンクエストが代表作となってしまった堀井雄二さんですが、いやはや多方面でいい仕事していました。あの喪失感の伴うクライマックスに衝撃を覚えた人もたくさんいたかと思います。その後は、「さんまの名探偵」「MYST」「Alone in the dark」あたりが、私のアドベンチャーゲーム歴を彩る作品となっております。アクション要素が増えたり、コマンド主導だったユーザーインターフェイスが改善されたり、アドベンチャーゲームも地道に進歩してきましたが、「レイントン教授シリーズ」や「逆転シリーズ」のようはヒットが今後も出てくるといいですね。
さて、王様からカヌーをいただくとともに、イングズは一つの決断を迫られました。彼はサスーン国の兵士という立場ですから、本来であればルーネスたちとともに旅立つということはできません。しかし、そこはクリスタル様のご威光でサスーン王も気前よく旅立ちの許可をくれました。ただし、旅立っている間の身分の保障の話は特にでませんでした。下手するとうまい具合にリストラされた可能性があります。やはりサスーン王にとっては、イングズとサラ姫の間にある近しい感情にいくらか不安を覚えているのかもしれません。
ともかくこれでイングズはしばらくサスーンを離れることになりますから、愛しのサラ姫に一言挨拶をしていきましょう。しかし、城内の兵士の話によると、サラ姫は泣きながら自室に戻り、こもりっきりとのこと。これは、もしや!?

修羅場の予感おそるおそるサスーン右の塔最上階の姫の部屋を訪れ、別れの挨拶を切り出しますと、サラ姫様は俯いたままの様子・・・。これはまさに男女の修羅場といった雰囲気です。同席を余儀なくされているルーネス・アルクゥ・レフィアのいたたまれなさを想像すると同情を禁じえません。何もこんなところでこんな重い空気を作りださなくても。外面も気にならないほど、イングズとサラ姫の間には激しい感情が静かに交錯します。そのオーラにアルクゥは耐えられずもどしそうになったり。

言いたい放題姫張り詰めた空気を破ったのはサラ姫の方でした。イングズに背中を向け、「わざわざ泣かせに来るなんてあんまりよ・・・」とボディブローを繰り出してきます。ここで男子と女子とでは、感想がわかれると思うのですが、要約すると「世界平和にうつつを抜かしているくせに、どの面下げてのところにきたのよ。」とサラ姫はおっしゃっています。世界を自分と自分以外に二分した場合、自分以外の方に相手の気持ちが向かった瞬間に「浮気された」という感情がサラ姫の中に発生します。ただ、浮気相手が「世界平和」なため、理性では詮無きことと判断せざるをえません。感情と理性とで、どちらに重きが置かれるかは個人差があると思いますが、サラ姫は一時的にパッションが優先されたようであります。こういった場合の女子の処し方は、とてもデリケートなものなので、一見クールでもてそうな容姿の反面、実務に忠実で異性交遊経験の少なそうなイングズの手には余りそうです。下手になぐさめても大やけど、放置したら最悪の事態というプレッシャーにイングズは戸惑うばかりです。アルクゥは多分失神してます。
イングズとサラ姫の関係というのは、再度まとめてみますと、みなしごのイングズがサスーン城の誰かにもらわれたことに端を発し、お姫様と同年代ということもあって遊び相手としてあてがわれたという過去が推測されます。若い二人ですから、まだ社会のしきたりや外界の広さを知りませんし、いつしか一番身近な異性として意識することにもなるでしょう。しかし、イングズには成長にともなって「兵士」という新しいアイデンティティが生まれます。逆にサラ姫にも「サスーン王女」としての責任がついて回るようになります。ここでシェイクスピアだったら、二人で駆け落ちしたり、心中したりと大変なことになるのでしょうが、FFではそれどころではありません。「世界がやばい」という状況下でこれから治安は悪化する一方です。そこにきてイングズが「光の戦士」というとんでもない大役に抜擢されてしまい、「身分の差」という社会的な隔絶以上に、「行く者と残る者」というより具体的な距離感が生じてしまいました。旅立つ男を待つ女という状況が、どれだけ今後のサラ姫にストレスを与えることになるかはかり知れません。誠実そうなイングズですが、男には男にしかわからない事情も何かとあるものです。いろいろな不誠実な男の話を傍仕えの女中からあれこれ聞かされるうちに、気丈そうなサラ姫も参ってしまうかも。

締めは笑顔姫落ち込むサラ姫をよそに、ルーネスたちの旅立ちの時がやってまいりました。泣きくれるサラ姫、ごめんなさい。後ろ髪をひかれながらもイングズは世界平和を実現するべくサスーン城を後にするのでした。
すると、その時、城門の上から笑顔とともにサラ姫の見送りの声が聞こえてきます。不安でつぶれそうな気持ちにうまく整理をつけて、愛するイングズに別れの言葉をかけにわざわざ出てきてくれたようです。イングズに心配させないように笑顔を作っているあたりはポイントが高いですね。けなげな女性でもあります。みなしごとはいえ、イングズにはちゃんと帰る場所があることがこれで確認できました。サラ姫を悲しませるようなことは極力控えることにしましょうか。